鳥谷 引き際を常に意識しながら「チームに貢献できるのがプロ野球選手」

[ 2019年3月1日 09:01 ]

対談した広澤克実氏(左)とポーズを決める鳥谷(撮影・北條 貴史)
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 【本紙評論家 キーマン直撃 2】広澤 守備でも“対戦モードに近づいてきたな”と感じた。

 鳥谷 そうですね。自分の守りやすさというか、送球に関してもそうなんですけど、動きやすさは感じ始めています。その辺りは徐々に体が慣れてきているのかな、とは思います。

 広澤 感情が表に出るタイプの選手ではないけれど、今年にかける思いというのは強い。

 鳥谷 変な話ですけど、もう何年もできるわけではない。最後、自分が試合に「出られる」「出られない」というよりは、ここ何年かはあまり勝負できずに終わっていたという感じもあります。それを受け入れる態勢も自分になかったですし、そういう現実をしっかり見て自分で「一から」という気持ちでできているので、いい毎日を過ごせています。

 広澤 長くないと言ったけれど、今年さえ乗り切ればもっともっとできると思う。分岐点というか。

 鳥谷 体的には全然元気ですし、できるかな…とは思いますけど、自分の引き際ではないですけど、そういうことは常に意識しながら、ここ何年かは過ごしています。いかに自分がチームに貢献できるかというのがプロ野球選手だと思う。自分がチームに貢献できていないという場面はすごく多かった。そういう自分が枠を一つ使っている。「このまま続けて良いのかな?」という思いはありましたね。

 広澤 過去を振り返らせてしまって申し訳ないんだけれど、昨年、連続試合が止まったときはどういう心境だったのかな。

 鳥谷 自分としては開幕2戦目にスタメンから外れたときに「遅かれ早かれ今年で止まるな」という思いはありました。なので特にショックというのはなかったです。

 広澤 僕も鳥谷には及ばないけど、1180試合で連続出場が止まってからは自分で「集中しよう」「燃えよう」と思っても、なかなかうまくいかないことがあった。

 鳥谷 それまで打席の中で音は全く聞こえていなかったのが、以降の何日間は音が聞こえる打席があったのは確かです。

 広澤 17年には顔面死球を負いながら出場を続けた。あの姿にみんな感動して、鳥谷という選手の価値を高めたように思う。休むという選択肢はなかったのかな。

 鳥谷 全くなかったです。骨折はしましたけれど、過去にも他のところを骨折していたこともあったので。鼻血が出ているのと見栄えが悪かったというだけで、いけるかなという感じでした。

 広澤 誰でもいつかは競技者人生が終わるんだけれど、鳥谷という選手を振り返ったときに、みんながあのシーンを思い浮かべることができる。

 鳥谷 まだ実感はありませんが、終わった時にはそう思えるかもしれません。

 広澤 これほど強く競争というものを意識してキャンプに臨んだこともなかったのではないか。

 鳥谷 自分のポジションはないので取るしかない。そこだけです。そのために何が必要かというのを考えています。

 広澤 開幕スタメンへの思いは。

 鳥谷 開幕で終わりではないので何とも言えないですが、開幕から出ないと1年間出られない。そこでグラウンドに立てるようにしたいとは思います。

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2019年3月1日のニュース