センバツ最速153キロ右腕は消防士に ライバルの阪神・西にエール「13勝を」

[ 2018年12月25日 08:00 ]

伊勢市で消防士として活躍する平生拓也さん
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 オリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使し阪神に移籍した西勇輝投手(28)。スポニチでは、来季に2005年以来14年ぶりV奪回のカギを握る通算74勝右腕を知る人物を直撃取材し3回にわたって連載する。1回目は高校時代のライバルで2、3年夏の三重大会決勝で投げ合った平生拓也さん(28)。

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 西が菰野のエースとして活躍した高校時代。最大のライバルだった平生は今、伊勢市消防本部消防署二見出張所に勤務している。卒業後、親交はない。それでも、平生は気になる存在として西の姿を追ってきたという。

 「西には同世代のエースとして甲子園で活躍してもらいたい。できる限り、長くプレーしてもらいたい気持ちです。自分に将来子どもができた時、“お父さんはこの西投手と高校時代に投げ合っていたんだぞ”と言えるまで。それくらいまで頑張ってもらえたら」

 2人は三重県で実力を二分する、プロ注目の好投手だった。2007年夏と08年夏の三重大会では2年連続決勝で激突。07年は平生が4―0で完封勝利を収め、08年は西が5―2で投げ勝った。先に注目を集めたのは平生だった。08年選抜2回戦・安房(千葉)戦で自己最速を一気に5キロも更新する、今も大会最速として残る153キロをマーク。最後の夏は腰痛と右内転筋の肉離れに苦しみ、西の前に屈した。

 「西は冷静でいつもマウンド上でニコニコしていましたね。最後の夏は“絶対に勝つんだ”というオーラが西からあふれていました。今思うと、高校最後の夏は西が甲子園に行きましたし、今回の阪神入りも含めて彼の方が甲子園と縁があったんでしょう」

 ともにプロ志望届を提出したが、西がオリックスから3位指名される一方で、平生は指名漏れに泣き、社会人野球の西濃運輸に入社した。今となっては自慢話!?だが「阪神さんから“ドラフト3位か4位で行かせてもらいます”という話だったんですけどね」と08年ドラフト直前の秘話も明かした。社会人でもケガに苦しみ公式戦登板が一度もないままユニホームを脱いだ。

 野球に別れを告げた今、消防士として奮闘する毎日だ。中学時代の職場体験を経て憧れの職業に就いた。高2の時に自宅で倒れていた母親を助けてくれたのも消防士だった。やりがいと責任を感じ、仕事にまい進している。「西には自己最多を更新する13勝を目指してほしい。内角を突く制球力は高校の時から抜群でした。僕は僕で、高校時代からお世話になる伊勢市に恩返しがしたい」。好対照の道を歩む2人だが、漂う充実感はまったく一緒だった。=敬称略=(吉仲 博幸)

 ◆平生 拓也(ひらお・たくや)1990年(平2)10月6日生まれ、三重県伊勢市出身の28歳。一ノ瀬小2年からソフトボールを始め、小俣小3年から「小俣スポーツ少年団」でプレー。小俣中では軟式野球部に所属。宇治山田商では1年春からベンチ入りし07年夏と08年春の甲子園に出場。社会人野球の西濃運輸を経て14年から伊勢市消防本部で勤務。1メートル75、90キロ。右投げ右打ち。

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