星稜悲劇…足つる選手続出 林監督「甲子園では地方大会にない消耗ある」

[ 2018年8月13日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第8日・2回戦   星稜11―13済美 ( 2018年8月12日    甲子園 )

<済美・星稜>タイブレークの激闘の末に、済美に敗れ引き揚げる星稜ナイン(撮影・近藤 大暉)
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 「頼むから切れてくれ」。右翼を守る星稜(石川)・竹谷主将の悲痛な叫びもむなしく、頭上を襲った打球は右翼ポールを直撃した。タイブレークで2点リードした延長13回に6番手の寺沢が矢野に逆転サヨナラ満塁アーチを被弾。林和成監督は「これが野球、これが甲子園。済美の選手たちの1球に対する集中力と、球場の歓声にのまれてしまった。勝たせてあげられなかったのは、私の力のなさ」と言った。

 最速150キロを誇る2年生エースに起こったアクシデントから歯車が狂い始めた。初回に5点を先制。だが先発の奥川が右ふくらはぎをつったため、わずか4回で降板した。「最後まで投げたかったけど、監督から“無理するな”と言われた。自分が情けない」。8失点で一時逆転された8回は4番手の竹谷主将が打者7人から1死しか取れずに右翼の守備へ戻ったが、投球練習の時点で両足をつっていた。指揮官は「うちの選手はこれまで一度も試合中に足がつったことはなかった。甲子園では地方大会にはない消耗があるのでしょう」とかばった。

 星稜らしい粘りも随所に見せた。2点を追う9回は竹谷主将、鯰田(なまずた)の適時打で延長戦に持ち込む。同点打の鯰田は「気持ちで打ちました」。12回1死満塁の大ピンチでは寺沢が「キャッチャーミットを目掛けて投げるだけだった」と2者連続の見逃し三振で切り抜けた。タイブレークの13回は2点を勝ち越して再び勝利をつかみかけたが、悲劇が訪れた。

 OBの松井秀喜氏が始球式を務めた開幕戦に勝ったが、大会史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた。涙を浮かべた竹谷主将は、松井氏に伝えたいことを聞かれると「優勝できなくてすみません」と謝った。4回で降板した奥川も、痛恨の一発を浴びた寺沢もまだ2年生。この無念を晴らす機会はある。 (石丸 泰士)

 ≪星稜“悲劇”のアラカルト≫

 ★痛恨の転倒 79年夏、箕島(和歌山)との3回戦。2―2で迎えた延長16回に勝ち越したが、その裏2死からファウルゾーンに上がった飛球を一塁手の加藤直樹が土と人工芝との切れ目で転倒して捕れず、命拾いした森川康弘に同点弾を浴びた。18回に堅田外司昭が打たれサヨナラ負け。

 ★一度も振れず 92年夏2回戦。4番・松井秀喜を強く警戒した明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督は、バッテリーに徹底的に勝負を避けるよう指示。5打席、1球もストライクを投げず全て四球とした。優勝候補だったが2―3で敗れ、松井の高校生活も終わった。

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