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阪神・梅野が目指す道…盗塁阻止率UPより「走られない捕手」に

9日の巨人戦の5回無死一塁、打者ゲレーロの場面で、一走・吉川尚の二盗を阻止する阪神・梅野
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 今年、関西の紙面で「孫子の兵法」を使ったコラムを不定期で書いています。古今東西、最高の戦略書といわれる兵法書と、野球の勝負事に通じるものがあるのか。難しいお題と向き合いながら、緊張感を持って試合を見ていると、確かに去年までとは違う側面も見えてきます。

 19日の中日―阪神戦で6回、中日モヤの二盗を阻止した梅野の盗塁阻止率が4割に到達しました。もちろんセ・リーグではトップ。スポーツ新聞では見出しの立つトピックスです。ただ、梅野に聞くと「数字というより、大事にしているのはインパクトですね。大事なところで刺せるか。そうすれば、数字は付いてくると思うので」と、4割到達にはあまり意識はなかったようです。確かに、私も同感。みかけだけの盗塁阻止率よりも、実際はどうなのか。走者から怖がられている捕手なのか。そこが一番、重要なポイントかもしれません。

 百戦百勝は善の善なる者にあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。

 13篇で構成される孫子の兵法、第3篇の謀攻篇に書かれている一節がこれです。

 百回戦い、百回勝ったとしても、それは最善とは言えない。戦わずして敵を屈服させることこそ、最善の勝利である。

 ときは群雄割拠の春秋戦国時代。あまたの国が乱立し、せめぎ合っていた時代です。戦争をして勝利したとしても、傷つき、兵力=国力を落とせば、違う敵国に狙われ、その国は亡んでしまいます。そのため、無駄な戦争を避け、国力を落とさずに勢力を広げるのが「孫子の兵法」が出した最善の策だったわけです。

 これを、野球の盗塁に置き換えると、どうでしょうか。

 盗塁は、ある意味でハイリスクハイリターンの選択です。攻撃側はもちろん、守備側も盗塁を阻止できれば最高ですが、二塁を奪われて得点圏に走者を進まれると、バッテリーの配球や守備位置が変わることが考えられ、戦局を動かすポイントになります。そう考えると、一塁に走者を釘付けにすることは、大事な守備でもあります。

 盗塁阻止率で伝説となっているのが、古田敦也氏が記録した1993年の・644です。これは記録として残る1969年以降で最高の成績。5割を超えることは滅多にありませんが、古田氏は通算5度も5割超えがあり、いかに強肩だったかを物語る成績です。

 記録を出した93年は、盗塁を狙った企図数45に対して、盗塁刺は29。興味深いのは、その推移です。91年は83、92年は60、そして93年に45と、年を追うごとに減少。『相手が古田では難しい』と敵チームが考え、走者も自重した結果がうかがえます。

 梅野はリーグトップですが、21日までの時点で企図数20。ライバルである巨人の小林は、盗塁阻止率・286とはいえ、企図数14。そう考えると、梅野にはまだまだ成長の余地があるでしょう。梅野には、単なる盗塁阻止率のアップよりも、走られない捕手となることを期待します。(鶴崎 唯史)

[ 2018年5月24日 10:30 ]

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