他者任せにしない「おもてなし」 楽天にみる“東北統一”戦略

[ 2015年9月1日 09:30 ]

6月23日のオリックス戦の7回、「東北グリーン」の緑のジェット風船が舞う開成山野球場のスタンド

 太宰治が小説「津軽」の中で「そこに於いて諸君の路は全く尽きるのである」と書いたのが、青森県の竜飛崎。楽天の公式球団歌「羽ばたけ楽天イーグルス」の歌詞では、この竜飛崎から福島県の磐梯山まで羽ばたけとある。

 東北は広い。そして人口密度が低い。総面積は東北6県で約6万7000平方キロメートルに対し、総人口は約900万人。例えば沖縄県を除く九州7県は約4万2000平方キロメートルに対し、約1300万人。さすがの伊達政宗も統一できないわけだ。

 この広大な地に根を下ろして11年。楽天が東北を統一しようとしている。今季、「東北シリーズ」と銘打って開催された楽天の地方巡業が大成功を収めた。6月23日の郡山が1万3574人、同24日の山形が1万8220。7月28日の秋田が1万9459人、同29日の盛岡が1万5498人。いずれも球団過去最高の動員を記録した。

 プロ野球の地方開催には大きく2つの形式がある。売り興行と自主興行だ。前者は開催地の地元企業などに興行を買い取ってもらうことで、球団は試合をするだけ。手間をかけずに固定収入が得られるので好まれる。

 楽天の場合は自主興行にこだわる。地方球場にはバス約5台を使って100人以上の球団職員、スタッフ、屋台までが遠征する。球団関係者によれば「コボスタ宮城と同じ環境で、東北各地のファンの方々にお祭りの気分を味わってほしい」と説明する。他者任せではない「おもてなし」がリピーターを生む。

 太宰の言葉を借りれば東北の「路がまったく尽きる」ところまで楽天の色に染まり始めた。野球の成績が低迷しても監督、コーチがシーズン中に辞意を表明しても客足が途絶えないのには理由がある。(君島 圭介)

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