松井“イチロー超え弾”でチーム打点王!

[ 2010年9月1日 06:00 ]

<マリナーズ・エンゼルス>六回2死一塁、右越え2ランを放ち、本塁で一走ハンターとハイタッチ、笑顔でベンチへ向かう松井

 【エンゼルス5―3マリナーズ】エンゼルスの松井秀喜外野手(36)が30日(日本時間31日)のマリナーズ戦で17号2ランを放ち、チームの連敗を3で止めた。右翼のマ軍・イチロー外野手(36)の、はるか頭上を越えていく今季自己最長の131メートル特大弾。大リーグ30球場で最も本塁打が出にくいセーフコ・フィールドの今季最長飛距離と並んだ。松井はこれで71打点。ハンターを抜き、チーム打点王の座に立った。

【試合結果


 右翼の背番号51は一歩も動かなかった。打席の背番号55だけが、悠然と歩みを進めた。2点先制してなお2死一塁の6回。フルカウントから真ん中低めへのツーシームを、松井が豪快になぎ払った。弾丸ライナーは一直線に右翼2階席へと突き刺さった。

 今季一番の当たりか、と問われた松井は「それぐらい、確かに完ぺきでしたね。距離も出ましたし。ホームランの感触でしたね」とうなずいた。飛距離131メートルは、今季これまで最長だった126メートルを5メートル上回り17本塁打で最長だ。セーフコ・フィールドで今季出た79本塁打中でも、8月6日のマ軍・ランガーハンスと並ぶ最長弾。「シンカー系の速球が最後に甘いところに入ってきた。完ぺきに打てました」と自画自賛の一撃だった。

 大リーグで最も本塁打が出にくく長距離砲泣かせの敵地で今季6戦3発の固め打ち。すべてイチローの頭上を越える右翼席への一発だ。地元ではイチローの守備範囲の広さから「エリア51」と呼ばれる外野右翼ゾーンも、エ軍戦に限れば「エリア55」となっている。。
 球団ワーストにあと2イニングと迫る31イニング連続無得点と沈黙していた打線が、この回ようやく目覚めた。ボアジャス、アブレイユのソロに続く2ランで試合を決め、松井は今季71打点目で4番・ハンターを抜いてチームトップに立った。それでも「決して多いとは思わない。チャンスに何度も凡退している。反省の方が多く残っている」と表情は緩めない。
 残り30試合で首位レンジャーズとは10・5ゲーム差。プレーオフ進出は絶望的な状況だが「厳しい状況は変わらない。一試合一試合全力でやって、少しでも近づけるように頑張りたい」と静かに前を向いた。どんな苦境でも松井の思考はぶれない。チームの勝利のために。より遠くへとアーチを量産していく。

 ≪ハンター、松井と“秘密の賭け”≫今季70打点で松井に追い抜かれたハンターは「実はどっちが先に90打点にいくか、賭けているんだ」と明かした。何を賭けているかについては「お金は賭けてはいけないからね。ドルはダメ。でも円ならいいかも」と冗談交じりにかわした。その上で「松井はこの3週間スイングがいい。ヤンキース時代のようだ。2人そろって90打点までいければ、終盤いいプレーができたということ」と松井と同じくあきらめない姿勢を強調した。

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2010年9月1日のニュース