阪神・前川 開幕左翼へ前進!100周年甲子園初戦で“チーム初安打” 楽天・田中将の宝刀スプリット撃ち

[ 2024年3月7日 05:15 ]

オープン戦   阪神2―5楽天 ( 2024年3月6日    甲子園 )

<神・楽> 2回、田中将から右前打を放つ前川(撮影・後藤 大輝)
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 初の開幕スタメンを狙う阪神・前川右京外野手(20)が、6日の楽天戦でオープン戦13打席目にして初安打を記録した。日米通算197勝を誇る相手先発・田中将の宝刀スプリットを右前にはじき返し、開場100周年の甲子園で今年の“チーム初安打”をマークした。左翼守備ではミスこそ出たが、岡田監督は右翼起用も含めて前川の打力を生かす布陣を検討中。2018年以来6年ぶりのオープン戦6戦全敗を喫したものの、新しい力は確実に育っている。 

 鍛え抜いたその下半身で、田中将の伝家の宝刀をとらえた。2回1死二塁。初球のスプリットを見逃した前川は、集中力を高めて2球目を待った。10度未満と肌寒いグラウンド内でも、20歳の心は熱かった。裏をかくようなスプリットの連投にも体勢を崩されずにこらえ、そしてバットのヘッドを走らせた。

 「うまく芯で打てたので、それは良かった。久しぶりにヒットが出たので、あの打席は良かったと思う。たぶん落ちるフォークかなんかだと思う」

 打球は図ったように鋭く一、二塁間を破った。智弁学園1年夏から甲子園を経験してきたスラッガーが、駒大苫小牧時代に甲子園通算8勝の優勝投手・田中将から右前打。100周年を迎えた甲子園で今年初めての試合。この一本がチーム初安打にもなった。田中将とは、昨年の交流戦でも敵地で対戦してプロ初のマルチ安打を記録。その際に放った初安打もスプリットを捉えたものだった。聖地初対決でもイメージ通りにバットは出た。

 「結果ばかりに目を向けると違うところがおろそかになる。それまでの過程をしっかりしたい」

 良くても悪くても、一喜一憂はしないと決めている。3年目とキャリアは浅くとも、どん底に突き落とされるような故障も不振も経験。試合では実力以上のものは出ない。その実力をつけるには練習しかない。オープン戦5試合で無安打でも、当てにいかず、しっかり振り抜くために打ち込みを続けた。その手応えが実を結んだ。それでも前川に笑顔はない。「しょうもないミス」と5回1死二塁で渡辺佳の打球を捕り損ねた適時失策を反省し、「次はないようにしたい」と前を向いた。

 見守った岡田監督は「守りの経験やな」と失策については不問に付し「レフトに決まったわけじゃない。ライトもまた守らす」と守備位置については流動的であることを明言。その理由として「そういう(前川の打力を生かしたいという)ことやんか、結局は」と説明し、すでに打力についてはレギュラー評価していることを示唆した。この日から実戦出場を開始した左翼のライバルであるノイジーは1打数無安打。現時点では前川が、開幕左翼へ最も近い場所にいる。(鈴木 光)

 《2年ぶり甲子園左翼》前川(神)の甲子園左翼守備は1軍ではシーズン中の経験がなく、新人の22年3月13日、巨人とのオープン戦で先発出場して以来2度目。前回は3度の守備機会で3、8回の吉川、9回の増田陸からフライアウトをとっている。なお2軍公式戦では22年6月11、12日のソフトバンク戦で先発出場したことがある。

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