中日育成4位・川上 一家の大黒柱が家族のために、はい上がる

[ 2024年1月26日 05:45 ]

中日育成4位・川上理偉(撮影・椎名 航)
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 【24年版球界新士録(11)中日育成4位・川上理偉内野手】川上には負けられない理由がある。球団新人唯一の既婚者で1児の父。妻・夢海さんへの恩返し、そして1歳の長男・愛斗君に父の雄姿を見せるためだ。

 「離れて暮らすのは、僕もですけど、寂しい思いをさせてしまっていますし、家族のために自分が頑張って、早く支配下に上がることが一番です」

 プロを目指していた九州・大分2年目だった22年に結婚。知人を通じて出会った愛妻は自らの夢を後押ししてくれた。今回は家族を大分に残して選手寮「昇竜館」に入寮。持ち込んだのは愛息のお気に入りという熊のぬいぐるみだった。週2、3度の妻子とのテレビ電話では、画面越しの幼い息子が「パパ」と一生懸命、呼びかけてくれる。「本当にパパという言葉の意味を理解して言っているのか分からないですけど…」と、照れながらも原動力となっている。

 地元出身の大先輩との出会いもあった。昨年、大分に横浜やソフトバンクなどで活躍した内川聖一氏(昨季引退)が加入。NPB通算2186安打を記録した強打者に積極的に助言を求め「トップの位置が動きすぎている」など打撃指導を受けた。「内川さんはよく無我夢中という言葉を話していた。自分をなくすくらい野球に取り組めと」。懸命にバットを振り込んだ。昨季リーグ戦では78試合で54打点で打点王を獲得。NPB入りをつかんだ。

 球団新人10人中、10番目の育成4位指名。「一番下からの方が、はい上がりがいがある」。一家の大黒柱が支配下登録を勝ち取り、チームにも欠かせない存在になる。 (湯澤 涼)

 ◇川上 理偉(かわかみ・りい)2001年(平13)3月10日生まれ、大分県出身の22歳。滝尾小3年時に野球を始め、大分中では大分明野リトルシニアに所属。大分高から専門学校の「宮崎福祉医療カレッジ」を経て、九州アジアリーグの「大分B―リングス」から育成ドラフト4位で中日入団。1メートル78、85キロ。右投げ右打ち。

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