【選考事情】被災地・石川アベック出場に「希望の灯を」 震災乗りこえてきたセンバツの理念

[ 2024年1月26日 17:47 ]

出そろった32代表。左端は日本高野連・宝馨会長(26日、大阪・梅田の毎日新聞大阪本社オーバルホール)
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 注目されたのは星稜(石川)の明治神宮大会優勝で「神宮枠」が回ってきた北信越の3校目だった。ともにベスト4の日本航空石川(石川)と北陸(福井)が比較検討され、日本航空石川が選出された。

 選考委員会の辻中祐子副委員長(日本高野連副会長)は「実力は拮抗しており、最終的には準決勝の戦いぶりで評価した」と説明した。日本航空石川は敦賀気比(福井)に7回に4安打集中で3点差を追いつく粘りを見せ、タイブレークの延長10回、3―4と惜敗。昨年春夏も甲子園出場していた北陸は実力を評価する声が高いなか、星稜に1―6で敗れていた。

 輪島市に学校がある日本航空石川は元日の能登半島地震の被災地だった。今回の選考に影響があったのかという問いに辻中副委員長は「被災地であるということは考慮されずに選考した。(2022年7月発表の)選考ガイドラインに沿った」と説明した。

 ただ、一方で「あらためて地震で犠牲となられた方々にお悔やみと被災者の方々にお見舞いを申し上げたい」と、選考委員会として被災地に向けたメッセージを発信。「センバツの大会理念に純真、明朗な気風で希望の灯をともしたい。被災地の希望となるよう、はつらつとしたプレーを見せてくれることを期待したい」。

 午前10時に始まった総会では冒頭、能登半島地震の犠牲者、被災者に向け黙とう。宝馨選考委員長(日本高野連会長)は「選抜大会は過去、国民の皆さまを元気づけ、勇気づけてきた歴史がある」とあいさつした。大会創設は関東大震災にあった翌1924(大正13)年。宝委員長は「阪神大震災、東日本大震災の後も大会を開催したのは国民の皆さまに元気を届けたかったからです」と復興センバツへの思いを語っていた。

 他に、近畿ではベスト4の4校を選出後、準々決勝でともに1点差の惜敗だった報徳学園(兵庫)、近江(滋賀)を5番目、6番目に選んだ。

 関東・東京の6校目は、関東の5校目に選んだ中央学院(千葉)の評価が高かった。宝委員長は「チーム一丸で粘り強く戦う姿勢」をあげ、桐光学園(神奈川)や花咲徳栄(埼玉)を上回った。健大高崎(群馬)に敗れた準々決勝も一時逆転する試合内容だった。東京2番目の創価との比較でも「総合力で上回る」と中央学院に落ち着いた。

 21世紀枠は別海(北海道)の評価が高かった。気温0度未満の冬日が半年以上あり、日照時間も短いが、農業用ビニールハウスを活用するなど工夫し、人口約1万4000人の町を盛り上げている点が評価された。別海は春夏を通じ、最東端からの甲子園出場となる。

 2校目に選出した田辺(和歌山)は困難克服などの諸条件に加え、昨秋の和歌山大会で市和歌山、智弁和歌山の強豪を連破した実力を評価した。宝委員長は「21世紀枠は出ても勝てないじゃないかという一部批判もあるなかで、甲子園で勝てるチームを目標にしている」と評価した。なお、21世紀枠特別選考委員の佐山和夫氏(日本高野連顧問、ノンフィクション作家)は母校・田辺が候補にあがっていたため、委員会の出席を辞退した。 (内田 雅也)

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