矢野燿大氏 「あと1死」からの大切さ知ってほしい阪神・及川 「一つのアウトを丁寧に取る」大竹を手本に

[ 2023年6月18日 08:00 ]

交流戦   阪神4-6ソフトバンク ( 2023年6月17日    甲子園 )

<神・ソ>7回 2死一塁 代打・野村勇(右)に2ランを打たれた及川(撮影・成瀬 徹)
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 【矢野燿大 視点】 野球は2死から。勝負の厳しさは、この一言に集約される。阪神・大竹の後を受け、7回から2番手で登板した及川が一球の怖さを味わった。3点リードでの勝ちパターンの起用に、応えることができなかった。

 2死を簡単に取ってから、甲斐に四球を与えたことが結果的に流れを変えてしまった。昨年までも「あと1人だぞ」「もう1人が大事」と及川には言い聞かせてきた。それなりに経験を重ねてきても、2死を取ると油断やスキがどうしても生まれてしまう。本当の勝負は2死から。2死無走者なら甲斐には本塁打を打たれてもいい場面。だが、四球、そして代打2ランでは、ベンチも対処できない。

 野村勇には初球スライダーがボールとなり、相手も真っすぐ一本に絞ってくる状況で仕留められた。四球がなければ1点差にはなっていなかった。逃げ切れる試合が、甲斐を歩かせたことで違う展開になった。球自体は悪くなかった。意識の問題になってくる。

 一つ一つのアウトを丁寧に取るという意味では、先発した大竹の投球は見事だった。左打者6人をそろえた古巣ソフトバンクを相手に、逃げずに内角を攻めたことが6回1失点につながった。

 大竹は2死から踏ん張った。4回2死から近藤に右中間二塁打され、初めて走者を背負った状況になっても、ボールの質、コントロールは変わらなかった。4番・柳田に対し、内角を攻めて、これを意識させた。カウント2―2からの6球目に内角で自打球を当てるファウルをさせると、7球目に外角いっぱいのカットボールで空振り三振。踏み込ませず、外角を遠くに見せる投球だった。

 後半戦も大竹にはローテの中心として期待ができると感じた投球だった。ブルペンが苦しいだけに、1イニングでも多く投げることをモチベーションにしてほしい。そして、及川も悔しさを乗り越え、1イニングを任せられる存在になってほしいと願う。 (本紙評論家)

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