「あと1球」からソフトBの虎退治 代走連発!前のめりで藤本マジック「逆転勝負に出たランナーやからね」

[ 2023年6月18日 05:02 ]

交流戦   ソフトバンク6-4阪神 ( 2023年6月17日    甲子園 )

<神・ソ> 9回2死一、二塁、中村晃は逆転の2点二塁打を放つ (撮影・須田 麻祐子)
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 土壇場でひっくり返した。ソフトバンクは17日に甲子園で阪神と対戦し、3―4で迎えた9回2死一、二塁で中村晃外野手(33)が、左中間への2点二塁打で逆転に成功、今季初の9回での逆転劇で痛快虎狩りとなった。1―4の7回2死一塁から代打・野村勇内野手(26)が、今季1号2ランを放ち反撃ムードをつくれば、9回には、代打そして代走2選手を相次ぎ投入するなど藤本監督の采配が的中した。

 土壇場で虎退治に成功。極限の集中力と藤本マジックがバチバチと的中した。ヒーローインタビューに呼ばれた中村晃は「タニ(谷川原)に感謝です」。自身の一打を誇らずに、代走を渋く称えた。

 3―4の9回2死一、二塁。球場全体に「あと1球」コールが鳴り響く中、中村晃は4番手・岩崎に食い下がった。「もう行くしかない。そんな気持ち」。カウント2―2から7球目スライダーをすくい上げると打球は左中間へ。走者2人が生還する二塁打で逆転した。

 指揮官のタクトがさえた。9回1死でまずは代打・嶺井が右二塁打。すぐさま代走・周東のカードを切った。続く甲斐が四球で出塁し、同1死一、二塁で野村勇の打席。ベンチ内がバタついた。1ストライクからだった。甲斐に代えて代走・谷川原を投入。指揮官は前のめりで戦況を見つめた。野村勇は見逃し三振も、続く中村晃が決めた。2得点目を巡って阪神側がリプレー検証するほど、微妙なタイミングが勝敗を分け「逆転勝負に出たランナーやからね。良かった!」と、采配的中にしたり顔だった。

 終盤の反撃ムードも代打から。相手先発は昨季までソフトバンクに在籍し、阪神でブレーク中の大竹に6回まで1点を返すのが精いっぱい。それでも2番手・及川に代わって迎えた7回2死一塁、松本晴の打席で代打・野村勇が起用に応えた。

 1ボールから外寄り高め直球を強引に振り抜いた。バットの先に当たったが、左翼スタンドギリギリに吸い込まれた。1点差に迫る1号2ラン。「とにかく自分らしく思い切って。狙い通りのバッティング」。兵庫県出身の男が、甲子園での人生初打席で勝負強さを発揮した。昨季のドラフト4位の万能野手は、快足とパンチ力を評価され、いきなり97試合に出場。10本塁打、10盗塁でパリーグ新人では37年ぶりの偉業達成も、今年3月末に腰を手術。リハビリを経て8日DeNA戦で今季初出場、初安打をマーク。今季9打席目での一発は申し分ない好材料となった。

 セ・リーグの首位相手に今後につながる執念の逆転劇。「野村勇が打って、嶺井が打ってね。よし、行けるってなったね」。すべては藤本監督の勝負手から。カードの切れ味の鋭さは、増している。 (井上 満夫)

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