中日次世代エース・高橋宏斗「2勝6敗の投手」に込めた決意…目指すは“由伸さんの3年目”超え

[ 2023年6月18日 08:00 ]

13日のロッテ戦でプロ初完投初完封を飾り、グラブを叩く高橋宏(撮影・椎名 航)
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 多くのプロ野球ファンが、さらなる飛躍を確信していると思う。中日・高橋宏斗投手(20)だ。6月13日のロッテ戦で自己最多125球を投げプロ初完投初完封を飾った。

 「1勝目を挙げてから勝ちが付かず、自分自身も苦しかったし、チームに迷惑をかけていたので、いい投球ができてよかったです」

 試合後の会見での印象深い言葉が、「まだ2勝6敗の投手なので」、「2勝6敗の投手ですから」と何度も何度も繰り返したこと。4月6日のヤクルト戦で今季初勝利を挙げてから白星に恵まれず6連敗中だった。2カ月ぶりとなる白星。卑下ではない。悔しさを受け入れて、この屈辱を必ず進化の糧にする決意の表れだと感じた。

 昨季までオリックス担当記者だったので、高橋宏と初めて対面したのは今年1月の成人式取材。柔和な笑顔で、ハキハキとあいさつする好青年。連敗続きの苦しい時期は思い詰めた表情をしていたが、報道陣を見かければ、努めて明るく振る舞う姿も好印象だった。

 3月にバンテリンドームで行われた侍ジャパン壮行試合の前日練習を取材した時のこと。高橋宏が、山本由伸と三塁側付近でウォーミングアップをしていたので、あいさつしようと近寄ると、冗談好きの山本から「あれ、何しているんですか? そっか、中日担当でしたっけ。宏斗、この人には気をつけろ。変なこと書かれるぞ」とニヤニヤされて困ったが、2人にいろいろ聞いた。野球に取り組む真摯な姿勢、強い向上心、チームの勝利に貪欲なところ、ユニークな性格も含めて共通点は多く、互いに認め、慕うのも納得だった。

 高橋宏は「由伸さんの3年目の成績を超えることは最低限」と目標に設定する。2年連続で投手タイトルを総なめした球界No.1投手から学ぶことは多く、自身にマッチするものを吸収している。150キロ台後半の直球に、左右へ自在に投げ分けて落とすスプリットのコンビネーションは、すでに一級品。高橋宏には近い将来、手が付けられない存在になる予感が漂っている。(記者コラム・湯澤 涼)

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