侍ジャパン担当キャップが総括 侍強化試合で見えた 野手と投手の収穫と課題

[ 2022年11月11日 05:05 ]

侍ジャパンシリーズ2022   日本代表9―0豪州代表 ( 2022年11月10日    札幌D )

<豪・侍>5回から登板した高橋奎(撮影・高橋 茂夫)
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 来年3月のWBCに向けた強化試合4試合を終え、侍ジャパン担当キャップの神田佑記者(39)が総括。野手陣、投手陣それぞれの収穫と課題を分析した。

 野手の収穫は「複数ポジション起用」だ。二塁が本職の牧と三塁の岡本和を、一塁で起用。攻撃の幅が広がった。守備面も安定しており、5日の日本ハム戦では牧を起点に三重殺を完成。WBCには28人の選手枠があり、複数ポジションを守れる選手は不可欠だ。

 課題は「センターライン」。今回は捕手、遊撃手、中堅手の選考に頭を悩ませた。捕手では中村は日本シリーズの疲労が考慮されて最終戦のみの出場だった。中堅手の塩見も同様の理由で先発は2試合に限定。遊撃手は今回不選出の巨人・坂本をどう判断するか。

 攻撃面の課題は打ち崩せない投手がいたこと。オーストラリアに大勝したが、栗山監督は「嫌な感じが残った。凄く怖いし、不気味」と語っている。9日は2番手の左腕・ケントに2回1/3を無安打。日本球界では珍しい1メートル83、95キロの大型左腕で、角度のある球を投げ込まれた。「後ろ(リリーフ)の方が球が強く精度が上がる。簡単ではない」と本番ではよりレベルが上がる。攻略には4番・村上の前後を打った右打者の山田、牧、岡本和が鍵になる。

 投手陣の収穫は、今シリーズの重要課題だった「第2先発」。高橋宏、宮城、戸郷、高橋奎が合計11回を無失点。慣れないWBC使用球でわずか計2四球と適応した。シーズン中はいずれも先発の中心的存在。試合開始時間から逆算する普段のルーティンを崩し、試合途中から向かった時の適性を試したかった。栗山監督は「素晴らしいと思います」と評価。球数制限のあるWBCでは、先発からいい流れを引き継ぎ、もし不調の場合は流れを変える役割として重要になる。

 課題は「中継ぎ投手の選考」。今回はクローザーを除く中継ぎ専門職は湯浅、森浦で本番でも2、3人の選考が予想される。6日の巨人とのタイブレーク練習では、今季23試合に先発した伊藤が無死二塁から2失点した。

 走者を背負った場面で経験豊富な専門職は必要。小久保監督が指揮した15年プレミア12では先発と抑えのみで、中継ぎ専門の投手を招集せず。準決勝の韓国戦で継投の失敗が際立ち、痛恨の9回逆転負けを喫した。この4試合ではイニング途中の投手交代はなかった。実績よりも、さまざまな状況に対応できる専門職が求められる。

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