阪神・藤浪は「市場での需要高い」 敏腕代理人・ボラス氏がメジャー契約に自信 スプリット高評価

[ 2022年11月11日 05:15 ]

ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す阪神・藤浪
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 ポスティングシステムでのメジャーリーグ移籍を目指す阪神・藤浪晋太郎投手(28)が、米国での市場評価が高まっていることが判明した。代理人を務めるスコット・ボラス氏(70)が9日(日本時間10日)、大リーグ各球団のゼネラルマネジャー(GM)、選手の代理人が集う米ネバダ州ラスベガスでのGM会議で取材対応。現地で投げる投手が少ないスプリットを武器にしている点から、「市場での需要が高い」とメジャー契約に自信をみせた。

 数々の大物を手がける敏腕代理人の言葉は説得力がある。メジャー移籍を目指す藤浪の価値について、注目のボラス氏が口を開いた。「市場での需要は高い」。ここ数年、1、2軍を行ったり来たりし、国内でもメジャー挑戦に懐疑的な視線が向けられているが、今GM会議では、今オフの話題の一人になっているのだ。

 “買い手”の位置付けとなるパドレスのプレラーGMも、“売り手”のボラス氏の言葉に同調する。「日本人選手は長年にわたって注視しているが、特に(千賀、藤浪)2人の動向は気にかけたい」と力を評価した。

 16年を最後に二ケタ勝利からも遠ざかり、中継ぎにも回った右腕がなぜ、注目されるのか。米国では高速で落ちるスプリットを武器とする投手は少ない。それを物語るように、今季の全30球団で先発した367人のうち、スプリットを投げたのは26人だけで、割合は約7%にすぎない。見慣れない球種に加え、160キロ前後の剛速球を投げ込むのは、エンゼルス大谷との類似点。こうした背景から、ボラス氏は「スプリットと速球を持つ先発投手は限られている。そういう投手の需要は大きい」とメジャー契約、それも先発投手として移籍させることに自信を見せた。

 今季終盤に課題のコントロールが改善したこともプラス材料で「シーズン最後の3、4カ月で彼は大きく向上した。スプリット、速球の制球が良くなったからだ。契約し、機会を与えたいと考えるチームはある」と、言葉に力を宿した。

 実際に今季は開幕から5月までの直球の被打率・364、フォーク(スプリット)は・200。しかし6月以降は直球の被打率・218、フォーク(スプリット)が・151と良化。また、1試合(9回)あたりの与四死球率は昨季8・19だったのに対し、今季は3・24まで改善された。

 一方で藤浪がまだ申請をしていないのは、ボラス氏なりの皮算用がある。「(ポスティングの時期は)まだはっきりしていない。チーム(阪神)と話し合い、互いにとって最善の日を選ぶことになる」。米大との交渉期間は申請後45日間しかない。移籍市場の動向を見極め、好条件を出す球団が現れるタイミングを狙っている。(長谷川 凡記)

 ▽スコット・ボラス氏とは 74~77年にマイナーリーグで内野手としてプレーした後、弁護士資格を取得して代理人に転身。シャーザー(メッツ)、ソト(パドレス)、コール(ヤンキース)ら多くの大物を顧客に抱えている。日本人選手のポスティングでは06年オフに西武・松坂大輔の代理人として、レッドソックス移籍の際に入札額と合わせ、約1億ドル(当時約130億円)の巨額契約を勝ち取った。他にも数々の記録的な大型契約を結んでおり、00年にはマリナーズのアレックス・ロドリゲスを当時のプロスポーツ史上最高額となる総額2億5200万ドル(当時約290億円)でレンジャーズに移籍させている。

 ▽ポスティングシステム 海外FA権の取得前に大リーグに移籍する制度。現在は以前のように入札ではなく、獲得希望の全球団と交渉ができる。大リーグ側に申請し、米30球団に通知された原則翌日から交渉が可能。今年の申請手続き期間は11月1日から12月15日まで。交渉期間は昨年までの30日間から45日間に拡大された。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動する。なお交渉期間内に契約合意がなかった場合、翌年の申請開始日までポスティングの再申請はできない。

 《鳴尾浜で自主トレ》藤浪はこの日、鳴尾浜球場で自主トレーニングを行った。キャッチボールや室内での筋力トレーニングで汗を流す合間を縫って岩貞らと言葉を交わす場面も。メジャー公式球への順応具合を確認されると「前回と変わりません」説明した。ポスティング申請に必要な書類等の準備も進めているようで、来たるべき日に向け着実に歩んでいる。

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