ヤクルト・丸山和 史上初!新人サヨナラV決定打「心の底からうれしい」守備で途中出場、9回千金二塁打

[ 2022年9月26日 05:00 ]

セ・リーグ   ヤクルト1-0DeNA ( 2022年9月25日    神宮 )

<ヤ・D>9回、丸山和がサヨナラ打で優勝(撮影・篠原 岳夫)
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 あまりにも劇的な幕切れに、日本中の野球ファンが一瞬で「丸山和郁」の名前を覚えた。突如としてやってきた、想像すらできなかった人生最高の瞬間。途中出場のドラフト2位ルーキー・丸山和が、リーグ連覇を決めるヒーローになった。

 「誰もが多分打たないと思っていただろうし、自分ですら打たないと思っていたんで。記録にも残って、心の底からうれしい」。プロ野球史上初の、新人選手のサヨナラ打によるリーグ優勝決定。8回の守備で右翼サンタナが故障を訴え、代わって守備に入っていた。0―0の9回1死二塁で回ってきた打席。エスコバーの2球目の直球を左中間へ運んだ。抜けた。自身初のサヨナラ打。「打った感触で“よっしゃあ!”と言ってしまったけど、打球がどこに飛んだか分からなくて…。前に飛んでくれて良かった」。無我夢中だった。

 チームの大黒柱である村上と同学年の23歳。群馬県の倉渕村(現高崎市)で生まれ育ち、豊かな自然の中で川遊びや木登りで遊んだ。身体能力が鍛えられ50メートルは5秒8の俊足。母校・前橋育英の荒井直樹監督からは「野生児」と呼ばれた。

 その高校時代からグラブに刺しゅうしているのが「不調こそ我が実力」。20年間無敗の雀士である「雀鬼」こと桜井章一(79)の言葉。「麻雀はやらないしルールも知らないけど…。高2の春に打率が悪すぎて、コーチと毎日居残り練習をしている時に言われた」。そして、座右の銘「凡事徹底」は前橋育英野球部のスローガンで「当たり前のことをしっかりやる」。ヤクルトでは野村克也元監督が口酸っぱく言っていた言葉でもあった。

 歓喜のビールかけには「サヨナラ漢(おとこ)です」のたすきを掛けて登場した。好きな歌手はX JAPANや尾崎豊。X JAPANは「Forever Love」を好んで聴く。永遠の愛ならぬ、ファンの記憶に永遠に残るであろう一打。丸山和が最高の夜を運んできた。(鈴木 勝巳)

 ◇丸山 和郁(まるやま・かずや)1999年(平11)7月18日生まれ、群馬県出身の23歳。前橋育英では外野手兼投手として3年夏の甲子園に出場し、大会タイの8盗塁をマークした。明大から外野手に専念し、2年春からレギュラー。同年夏の日米大学野球で日本代表に選出された。4年時は主将を務め、2季連続ベストナイン受賞。21年ドラフト2位でヤクルトに入団。今年7月3日のDeNA戦でプロ初本塁打。1メートル74、80キロ。左投げ左打ち。

 《球団新人「1-0」サヨナラ打は54年渡辺以来》ヤクルトが新人・丸山和のサヨナラ打でリーグ優勝を決めた。サヨナラ勝ちでのリーグ優勝決定は、15年のヤクルト以来7年ぶり。そのうちルーキーが打って決めたのは史上初めて。また、サヨナラでの1―0決着Vはプレーオフでリーグ優勝を決めていた06年パの日本ハム以来16年ぶり2度目となった。なお、優勝決定試合に限らずヤクルト新人の1―0サヨナラ打は、国鉄時代の54年9月11日中日戦で丸山和と同じ明大出身の渡辺礼次郎(9回左本塁打)以来68年ぶりだ。

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