伊東勤氏 日本ハム・新庄監督の采配“否” 公式戦に話題作り必要なし 勝つために必要な「普通と我慢」

[ 2022年3月29日 07:20 ]

伊東勤氏
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 今、旬の話題の賛否を問う新企画「マイ・オピニオン」。初回はプロ野球で話題を独占している日本ハム・新庄剛志監督(50)の采配について。敵地・ペイペイドームで25日から行われた開幕カードのソフトバンク3連戦は「遊びます」と宣言し、常識では考えられない継投を連発して3連敗。監督経験者でもある本紙評論家の森繁和氏(67)、伊東勤氏(59)が鋭く斬り込んだ。

 日本ハムは戦力的に厳しく、若い選手を育てていかないといけない。キャンプを見ていても、新庄監督は練習法などであらゆるものを取り入れ、練習試合やオープン戦では選手全員にチャンスを与えた。やる気も起こさせて、非常にいいと思う。私も監督時代にチャンスを与えて、戦力になるのかならないのかを見極めてきた。

 ただし、いろいろと試せるオープン戦と、勝つために戦う公式戦では全く違う。開幕戦。開幕投手にルーキーの北山を起用したのは選手全員にチャンスがあるというメッセージ性もあり、まだ理解できる。しかし、伊藤を中継ぎで使った意図を見いだせない。昨季10勝を挙げた、エースの上沢とともに白星を計算できる先発投手。投げさせるのであれば先発で使えばいいし、リードしていたのだから2回ではなく、最後まで投げさせればいい。

 オープナーからの小刻みな継投。各投手の投げる回数を決めていたように見えたが、計算通りにはいかないし、イニング途中で代えるタイミングを図らないといけない。本拠地開幕の次戦では、エースの上沢が投げる。これで落ち着くと思うし、いずれは先発、中継ぎ、抑えに分けて「普通」に戻さないと長いシーズンは持たない。その上で、リリーフ陣の勝ちパターンもつくらないといけない。劣勢から打線が追い上げたときでも「我慢」が必要。常に勝ちパターンの投手をつぎ込んでいたら、ブルペンは火の車だ。行き当たりばったりのような継投なら、なおさらだろう。

 オープン戦と公式戦は違うと言ったが、初回の攻撃も顕著な例だ。先頭の今川が3ボールから打ったのは、私には理解しがたい。オープン戦などで積極的にストライクを打つことを実践させていたが、公式戦は勝たないといけない。無死満塁、3ボールの状況でも打たせるのか。おそらく打たせるだろう。しかし、結果が出ればいいが、負ければ敗因に直結してしまう。最後まで貫き通せるのか。

 打線では、若い選手にいろいろな打順を経験させるのはいいが、実績のある近藤まで6、3、2番と変わっていたのは疑問だ。首脳陣は「自分のバッティングをすればいい」と言うけれど、選手というのはクリーンアップや1番など、それぞれの打順に見合った打撃をしてしまうものだ。

 新庄監督は面白いことをやって楽しませてくれるし、話題性には事欠かない。采配というか、今までにないスタイルも、うまくいけば評価されるだろう。ただ、選手にも生活があり、最終的に勝つことがいい方法だ。話題づくりは公式戦に入ったら、必要ない。

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