近江が滋賀県勢初の選抜4強 3試合連続完投、計379球の山田「甲子園は成長させてくれる舞台」

[ 2022年3月29日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会   近江6ー1金光大阪 ( 2022年3月28日    甲子園 )

<近江・・金光大阪>1失点完投勝利で準決勝進出を決めた近江・山田(撮影・成瀬 徹)
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 これが近江の底力だ。エース・山田陽翔が10奪三振で3試合連続完投。1回戦から31回、計379球を投げ抜き、夏春連続4強に導いた。代替出場校として選抜史上初、そして滋賀県勢初の選抜4強。勝利の瞬間、山田は右手を軽く上げた。

 1点差で迎えた7回1死二、三塁、ピンチでも頭の中は冷静だった。スクイズの可能性も前日ミーティングでインプット済み。「足を上げて目でけん制して指先でボールを離す瞬間が勝負。スタートが見えたので低めにボールを投げた」。1ボールからの2球目で、スクイズを外した。18年夏の準々決勝・金足農(秋田)戦での2ランスクイズによるサヨナラ負けの歴史から、練習で必ず取り組んだ対策が実を結んだ。

 「秋に負けたのが、このチームの原点だった。冬の間やってきたことが間違いではなかった。秋にできなかったことが甲子園ではできている。甲子園は成長させてくれる舞台だと思う」

 昨秋の近畿大会準々決勝で6点差をひっくり返された相手との再戦。山田も右肘炎症で登板できず、右翼で出場しミスもした。この敗戦で選抜選考から漏れ、そして京都国際に代わって代替出場。たどってきた道をリセットしながらチームも山田も強くなっている。

 「ベスト4で甲子園の歴史に少しは名を残せたと思う。気を引き締めて、一戦必勝でいくだけです」

 目指す頂点へ、あと2つ。1月の初練習で多賀章仁監督から「選抜に出たら5試合全部おまえに任せる」と告げられていた。日体大3年の兄・優太もきょう29日のオープン戦でリーグ戦先発枠を目指し登板。2人の名前を合わせると「優翔」。春の夢を追う戦いは続く。(鈴木 光)

 ▽21年秋の近畿大会準々決勝 4回表までに近江が6点をリードして試合を優位に進めたが、金光大阪が4回裏に3点を奪い、反撃開始。3点を追う8回1死満塁で貴島が3点二塁打を放つなど4点を奪い、逆転勝利を収めた。先発・古川は9回170球を投げ6失点完投。近江・山田は「4番・右翼」で出場も、登板はなかった。

《選抜の代替出場校初の4強》

 ◯…近江が勝ち、4強進出。選抜の代替出場校は通算13校目で、8強は1935年中京商、52年長崎商、92年育英の3校があったが、4強入りは近江が史上初となった。

 ◯…近江が滋賀県勢初の4強入りを決めた。過去、1957、62、93年八幡商、03年近江、16年滋賀学園の5度の8強入りがあったが、いずれも敗れていた。

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2022年3月29日のニュース