【スポニチスカウト部(6)】エイジェック・林明良 独自フォームから最速150キロ

[ 2022年3月29日 05:30 ]

最速150キロを誇る林
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第6回は、社会人野球・エイジェックの最速150キロ左腕・林明良投手(23)。関東学院大では、1年秋以外はリーグ戦でのベンチ入りを果たせなかったが、昨秋にエイジェックを初の都市対抗に導いた。大型左腕の現在地は――。

 社会人最高峰の舞台で、無名の左腕がベールを脱いだ。昨年11月の都市対抗に初出場した創部4年目のエイジェック。NTT西日本との1回戦に先発した林は、140キロ台後半を連発する力投で7回を投げ5安打無失点、8三振を奪った。1―2で敗戦も、ネット裏で視察したスカウトに強烈な印象を刻んだ。

 「都市対抗は社会人野球の醍醐味(だいごみ)。エイジェックが一回も出ていないのは不安というより、自分が初めて導けるという希望でしかなかった」

 関東学院大時代は肩、肘の炎症もあり、リーグ戦のベンチ入りは1年秋の一度きり。しかし、1メートル83の長身から最速147キロを計測していたダイヤの原石を、18年に創部したばかりのエイジェックが見いだした。ロッテなどで日米通算234セーブを挙げた小林雅英コーチの指導で、3キロの球速アップ。昨年7月に大台の150キロを計測した。

 力強い直球は数字以上の威力を発揮する。「いろいろな人に球持ちが長い、他の投手とタイミングがワンテンポ違うと言われる」と投球フォームが打者を幻惑する。肩の可動域の広さから、胸が打者の方向を向くタイミングになっても左腕は背中側に位置したまま。リリース寸前まで体に隠れた左腕から放たれる直球が、打者のバットを詰まらせる。

 「僕と同じタイプはあまりいない」と胸を張る大器。プロ志望届を提出することなく社会人野球の舞台にやってきた。横浜隼人(神奈川)では3年春に146キロを計測するも、夏に調子を落とした。故障でアピールできずに終わった大学時代。「三度目の正直」に燃える林は「しっかりアピールして夢だったNPBにいきたいなと思います」と誓った。(柳内 遼平)

 ☆球歴 小2で野球を始める。戸塚中では戸塚ホークスでプレー。横浜隼人(神奈川)では1年秋からベンチ入り。甲子園出場はなし。関東学院大を経て2021年からエイジェックに所属。

 ☆球種 スライダー、カーブ、フォーク。

 ☆特技 一発ギャグ。大学の野球部では1年生が対象になる「一発芸大会」に上級生で出場して2年連続優勝。

 ☆セールスポイント 直球の平均球速が140キロ台中盤を計測する馬力と全球種が決め球になる完成度。

 ≪シンプル追求し飛躍≫大学4年秋にベンチ入りできず「全部崩そうと思った」と投球フォームの改造を決心。体をひねる「トルネード」気味だったが「真っすぐ立って真っすぐ踏み出す」とシンプルな形を目指した。横浜隼人時代のチームメートと横浜市の球場を連日借り切り、1時間以上のキャッチボールで理想のフォームを追求。同年12月には幼なじみのヤクルト・宮台と、小学生時にプレーしたチームにあいさつした際「プロでもコンパクトなフォームの投手が球速を出している」と助言を授かった。「自分の考えは間違っていないと確信に変わった」と手に入れた理想のフォームで飛躍した。

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2022年3月29日のニュース