松坂大輔氏 カブス・誠也へ日本人野手への厳しい評価を覆してほしい 鍵はパワーピッチャー攻略

[ 2022年3月29日 05:45 ]

カブスの鈴木誠也(AP)
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 昨年限りで現役を引退した松坂大輔氏(41=スポニチ本紙評論家)が今、何を見て、何を思うのか――。平成の怪物の「今」を発信する月1回の連載コラム「松坂大輔の探球~シーズン編~」がスタート。第1回は近く取材に足を運ぶ大リーグの話題について。エンゼルス・大谷翔平投手(27)やカブス・鈴木誠也選手(27)への期待など、元大リーガーとしての視点も交えて記した。

 自分は今、米国にいます。25日には日本のプロ野球が開幕しましたが、大リーグの開幕ももうすぐ。2月に宮崎、沖縄と足を運んだ日本のキャンプに続き、近日中にアリゾナ、フロリダ州を訪れて大リーグのキャンプを取材させていただきます。自分がインディアンス(現ガーディアンズ)に所属していた13年以来、キャンプでは9年ぶりに訪れるアリゾナには、カブスに入団した鈴木誠也選手もいます。彼にはぜひ、ここ何年かの日本人野手への厳しい評価を覆してほしいと思っています。

 鈴木選手とは20年3月8日のオープン戦で対戦(※1)。カットボールを本塁打されました。大リーグでは、そのカットボールやツーシームなどボールが打者の手元で微妙に動く。さらにスピード自体も日本の投手より速い。いわゆるパワーピッチャーですね。速さ、プラス動くボール。これにどうアジャストするのか。日本人の野手が対処するのに一番苦労している点だと思います。
 自分もシカゴのリグリー・フィールドで登板したことがあります。スタンドの反応など、レッドソックスの本拠地ボストンに雰囲気が似ていると感じました。リーグは違いますが、ともに歴史ある人気球団。ボストンのファンは「レッドソックスネーション」と呼ばれるなど熱狂的な応援で知られます。殿堂入りしたビッグ・パピ(デービッド・オルティス選手)ですら、不振やチャンスで凡退した時はブーイングをされましたから。

 でも、それは愛情の裏返し。逆に活躍した時の声援は本当にうれしかった。鈴木選手もシカゴの熱狂的なファンの前でプレーをします。日本人の野手で右打者は過去にも少ないですし、ぜひレギュラーとして結果を残してほしいですね。

 エンゼルスの大谷翔平選手の元も訪れる予定です。投打の二刀流ですが、自分自身が投手だったこともあり、打者よりも投手としての調整の方が気になりますね。取材に行ったタイミングでぜひマウンドに上がっているところを見られればと思います。

 昨季の活躍を見ていて単純に「異次元の選手だな」と思っていました。投手としてローテーションに入り、投げない試合は野手として出場する。そして本塁打王を争うような成績を残す。自分も西武での現役時代、当時の東尾修監督に冗談で「投げない時は野手として試合に出させてほしい」と言ったことがあります(※2)。打撃が好きでしたから。もちろん即却下。そんなことできるわけないだろう、と言われました(笑い)。それを実際に、しかも大リーグでやっている。尊敬のまなざしで見ています。

 日本の開幕戦はニュース映像などでチェックしました。現役を引退して迎える初めての開幕。キャンプの時もそうでしたが、映像を見て「ユニホームを着ているのはやっぱりいいな」と改めて思いました。今後も大リーグはもちろん、日本のプロ野球も注目していきます。

 ※1 西武時代の20年3月8日に広島・鈴木誠と対戦。2回無死、カウント3―1からのカットボールを左翼席に運ばれた。鈴木誠は高校時代は投手。松坂氏の投げ方をまねるなど憧れていたといい「まさか本塁打を打てるとは。対戦できたのは一生の宝。子供ができたら自慢します」と大喜び。

 ※2 横浜高時代から高い打撃力を誇り、全国制覇した98年夏の甲子園では2回戦の鹿児島実戦で杉内(現巨人3軍投手コーチ)から2ラン。西武入団後も定期的に打撃練習を行い、00年8月7日のオリックス戦では野手を使い切ったため9回2死満塁で代打で登場し、中前に2点適時打を放った。

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2022年3月29日のニュース