【甲子園百景・春】涙の敗戦から成長した“スイーツ男子”大化けの予感

[ 2016年3月26日 08:24 ]

<敦賀気比・青森山田>3安打完封の敦賀気比・山崎

第88回選抜高校野球大会1回戦 敦賀気比1―0青森山田

(3月25日 甲子園)
 少年の成長していく姿は見ていて楽しい。史上3校目の春連覇が懸かる敦賀気比のエース山崎颯一郎が、体も心も大きくなって甲子園に帰ってきた。私には心に焼き付いているシーンがある。昨秋の神宮大会決勝。高松商と対戦し、3点リードを守れず8、9回で8失点。バント処理のミス、暴投など自ら崩れ、秋の日本一を逃した。

 試合後の一塁ベンチ。東(あずま)哲平監督の言葉を直立不動で聞いている。自分の情けなさからか、涙を流し、聞き続けた。「今のままなら高校野球のレベルで終わるぞ」。東監督の言葉が胸に突き刺さる。だから、北陸の厳しい冬の寒さの中、徹底的に追い込んだ。「全ての練習がきつかった」。相撲の四股、人をおぶってのスクワットは準備運動。ランニング、守備練習、筋力トレにフォーム固め。80キロの体重は5キロ増えた。その成果は甲子園で出る。この日、走者を出しても決して慌てることなく青森山田打線を4安打に抑え込んだ。

 素は天然。記者の質問に「どうですかねえ?」を繰り返す。大会前の練習試合の相手を聞かれ「う~ん、大阪にある高校でした」に報道陣は大爆笑。大好物はタルトとマカロン。おまえは女子か!と突っ込みを入れたくなる可愛さも併せ持つ。

 1メートル88の長身は伸びしろ十分の素質。笑うとエクボが可愛い17歳。この春、大化けの予感がする。(落合紳哉・特別編集委員)

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2016年3月26日のニュース