釜石8強ならず…5回に意地の1点も強豪・滋賀学園に完敗

[ 2016年3月26日 05:30 ]

<釜石・滋賀学園>8回、大量失点となった釜石・岩間(中央)はタイム中に笑顔でナインと話す

第88回選抜高校野球大会2回戦 釜石1―9滋賀学園

(3月25日 甲子園)
 20年ぶり2度目の出場となった釜石(岩手)は、2回戦で滋賀学園に1―9で敗れて8強入りはならなかった。先発したエース・岩間大投手(3年)は19安打を浴びて9失点したものの、1回戦の小豆島(香川)戦に続いて最後までマウンドを守った。打線は5回に大尻悠矢捕手(2年)の左前適時打で1点を返したが4安打に封じられた。聖地での2試合を終えた釜石ナインは、春夏連続出場へ向けて再スタートを切る。

 佐々木偉彦監督は開口一番「何もできなかった」と言った。昨秋近畿大会準優勝の強豪・滋賀学園相手に完敗。全国レベルを痛感させられる一戦に、肩を落とした。

 初回、先頭打者の遊ゴロをさばいた石崎が一塁へ悪送球。右肘痛を抱えながら登板したエース岩間も踏ん張れず、2安打と犠飛で2点を失った。佐々木監督は「守りきれず、流れがつかめなかった」と立ち上がりの失点を悔やんだ。

 4回までに6失点。打線も4回まで打者12人連続で凡打が続いた。一方的な試合展開の中、意地を見せたのは5回の攻撃だった。1死から新沼がチーム初安打となる右中間二塁打を放つと、三塁側アルプス席が沸いた。2死一、三塁の好機で8番・大尻が左前適時打。「チームのために(岩間)大さんが頑張っていた。流れを持ってこられるようにと思って打席に入った」と、迷いなく初球を強振した。指揮官が「よく1点取ってくれた。秋以上に、粘りの部分で成長した」と目を細めた大きな1得点だった。

 昨秋の新チーム公式戦初戦で高田に1―10のコールド負けを喫しながら、敗者復活戦から勝ち上がり県準優勝。被災地の思いを背負って、21世紀枠での甲子園出場を決めた。ナインは午前6時から兵庫県神戸市内の宿舎周辺のゴミ拾いを欠かさず、野球ができる環境に感謝した。ムードメーカーの中村は「いつも学校の周りでもゴミ拾いはやっているので普段通りに」と浮かれることはなかった。甲子園では5回のグラウンド整備の間に、全員が大声でジャンケンをする「全力ジャンケン」の儀式を敢行。最後まで釜石らしさを前面に出し、笑顔でプレーした。

 1回戦の小豆島(香川)戦では21世紀枠同士の対戦を2―1で制し、聖地初勝利。選手たちは自信を深めた。2回戦は力の差を見せつけられての大敗。甲子園の厳しさを知った。佐々木監督は「2つ目を勝てなかったことにフォーカスしていく。悔しさを持ち帰る」と厳しい表情で語った。

 夏はすぐにやってくる。伝令役を務めながらチームをけん引した菊池智主将は「応援していただいた方に感謝したい。また、夏に全員で来られるように頑張りたい」と、前を向いた。(川島 毅洋)

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2016年3月26日のニュース