由伸初陣1勝 逆風の中「監督としてこんなにうれしいのかと」

[ 2016年3月26日 05:30 ]

<巨・ヤ>監督初勝利にファンに手を振る高橋監督

セ・リーグ 巨人3-1ヤクルト

(3月25日 東京D)
 プロ野球セ、パ両リーグが25日、開幕した。高橋由伸新監督(40)が率いる巨人は、エース菅野智之投手(26)が7回無失点と力投し、昨季セ王者のヤクルトに3―1で快勝。高橋監督は2リーグ制後の巨人監督では水原茂、藤田元司に次ぎ3人目の初采配白星を挙げた。野球賭博問題、金銭授受問題で吹く強い逆風。ナインへの信頼に満ちた采配で、一歩ずつ力強く前へ進んでいく。

 緊張感から解き放たれた。コーチたちと手を握り合い、高橋監督がようやくこぼした心からの笑顔。「ずっと緊張していた」。3時間3分の初陣で初勝利を手にすると、本音が第一声になった。

 「本当に勝ててホッとしていますし、さすがに疲れましたかね。選手の時も、こうやってひとつ勝つとうれしかったですけど、やっぱり監督として、ああこんなにうれしいのかと感じましたね」

 4回の長野のソロで挙げた1点のみで終盤へ。接戦だからこそ、新指揮官の信念が采配に表れた。7回無死二塁、追加点の絶好機。犠打も考えられる場面だったが「考えてません」と亀井は自由に打たせた。三邪飛に終わっても揺るがない。1死一、二塁で小林誠に代打の選択肢もあった中、「全く考えていません。小林も成長している。こういうところで成長した姿に期待した」と打たせ、右中間への2点二塁打を引き出した。

 開幕投手・菅野も次に中5日で起用する構想ながら、119球で7回まで投げ切るまで託した。選手への信頼と、自身の決断への責任感がちりばめられた采配だった。

 球団の歴史を背負う第18代監督。ONに背中を押してもらった。この日、監督室で激励を受けた長嶋茂雄終身名誉監督には、就任直後に「やりたいようにやりなさい」と告げられた。ソフトバンク・王貞治球団会長に会った時も同じ言葉をもらい、意を強くした。「思った通りにやる」。「一新」を掲げるチームの象徴として開幕前は若手の重信、岡本に最後までチャンスを与えたが、初陣のオーダーはベテランに託した。「結果が全て」の実力至上主義。ミーティングでは「無駄な試合、無駄な打席、無駄な一球はないし、負けていい試合なんかない。勝ちに最善を尽くそう!」と訴えた。オーダーに、采配に、言葉に、チーム再建への信念を込めた。

 初勝利のウイニングボールを菅野から受け取り「やっぱりうれしい。最初の試合でもらえたので」とまた笑みがこぼれたが、困難な道はこれからだ。開幕セレモニー前には一連の野球賭博問題などを謝罪する老川オーナーの隣に立つ、異色の光景があった。「これから長いシーズンがある。そっちのことで頭がいっぱいです」。監督・高橋由伸が、責任と信念を胸に第一歩を踏み出した。(春川 英樹)

 ▼巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(ネット裏のブースで試合を観戦)いろいろ(課題は)あるんでしょうけど、きょうに関しては勝ったからいい気分だね。(自身の監督初年度を思い出したりは)あることはあるよ。

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