今年は違う!ワクワク開幕戦だ金本監督“走攻撃” 投手メッセが盗塁

[ 2016年3月26日 08:22 ]

<神・中>8回裏、交代を告げにベンチから飛び出す金本監督

セ・リーグ 阪神2-5中日

(3月25日 京セラD)
 プロ野球が25日、セ・パで開幕した。金本知憲監督(47)率いる阪神は、中日に2―5で敗れたものの、超変革野球は随所で見せた。二盗やヒットエンドランなど積極的な攻撃で、新生をアピール。「これを1年間、続けてほしい」と手応えが十分な一戦だった。

 敗れたとはいえ、初陣から「超変革」の雰囲気を漂わせた。敗戦の中にあっても、随所で3万5549人の大観衆を沸かせた。初黒星から指揮官の言う「ファンの納得する負け方」を実践した。

 「何でもイケイケというものではないけど、怖がらず、攻めて行って失敗してもいいんだから。読まれてもいいし外されてもいい。僕が恐れると選手が恐れ始めるから」

 恐れない。果敢に攻めた。攻撃時のベンチで仁王立ちする勇姿が、グラウンド内の猛虎を鼓舞した。初回、先頭の高山が左前打で無死一塁としたが、2番の横田に犠打の気配は無い。攻めた結果は投ゴロ。激走による併殺崩れで横田が一塁に残ると、ヘイグへの2球目で果敢にスタートを切った。積極策で得点圏を奪い、ヘイグの左前打で先制ホームを踏んだ。

 「みんな全力でね。横田も一塁まで全力で走って。(5回の)剛もナイス判断で。メッセも一塁まで全力疾走してね。みんな、目いっぱいのプレーをしてくれた」

 5回の攻撃は、「金本イズム」の浸透を物語った。無死一塁、岡崎の打席でヒットエンドランを敢行。西岡も激走し、一、三塁とした。そして打席には投手のメッセンジャー。1球目に企図したバントをファウルすると、2球目はバスターで強攻。結果は三ゴロだったが、ここでもメッセンジャーの全力疾走で併殺崩れとなり、三塁手が二塁転送した時点でスタートを切った三塁走者の西岡が生還した。それで終わりではない。なおも2死一塁でメッセンジャーが自らの判断で二盗。阪神投手では81年の小林繁以来35年ぶりに記録する盗塁で「金本野球」の神髄を見せた。

 勝利に向かって一丸だった。試合前の出陣式では、力強い言葉がナインを鼓舞していた。「俺も久々にこのユニホームを着て、緊張している。俺はファイティングポーズを崩さないからみんなも付いて来てくれ! 最強のチームになっていこう!」。全員でハイタッチを交わし、準備完了。指揮官の思いに、ナインは全力疾走で応じた。

 「消極的になる自分が怖かったけど、割とアグレッシブに行けたと思うよ。矢野(作戦兼バッテリーコーチ)の助けもあってね。きょうはホンマ目いっぱいやってくれた。これを1年間、続けてほしい。負けたけど、いいものを見せてくれた」。日本一に立った85年以降、優勝3シーズンはすべて黒星発進。特別な試合であることは間違いないが、143分の1でもある。試合には敗れたが、手応えは十分にあった。(惟任 貴信)

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2016年3月26日のニュース