【玉ノ井親方 視点】朝乃山 これぞ“負けて覚える相撲かな”

[ 2023年5月21日 19:50 ]

大相撲夏場所8日目   ○北青鵬(下手投げ)朝乃山● ( 2023年5月21日    両国国技館 )

北青鵬(右)に下手投げで敗れた朝乃山(撮影・西海健太郎)
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 朝乃山のような経験豊富な力士には、ふさわしくない言葉かもしれないが、これぞまさに“負けて覚える相撲かな”という一番だった


 北青鵬に左に飛ぶような立ち合いをされて、右の後ろまわしを取られた。朝乃山自身も右を深く差して、左で相手の前まわしを引く。そのまま上手を引きつけながら前に出たが、強引に体を入れ替えられ、ねじ伏せられるような下手投げを食らって土俵に転がされた。

 2メートルを超える北青鵬は懐が深くまわしの位置も高い。朝乃山は右四つ十分の自分の形になったとはいえ、真っ正直に正面に出ようとしたのが失敗だった。相手に力が伝わらず、押し切れなかった。右を差した後に、もっと横に振って揺さぶることができていれば、展開は違っていたのではないか。

 十両時代に一度対戦した時は上手投げで勝っている。だた、当然相手も研究してくる。今回、がっぷり四つに組んで負けたのはある意味、力負けしたことと同じ。次に対戦するときは、別の作戦を立てた方が良い。参考になるのは、北青鵬が7日目に敗れた剣翔戦だ。剣翔はもろ差しの形になって相手の懐に入り、下からぐいぐい押し上げて寄り切った。北青鵬は腰が高い分、下から押し上げられると弱い。朝乃山もそこをもっと突くような取口を考えた方が良いだろう。

 ただ、7日目までの相撲は100点満点。この日の負けを含めても、ここまでは90点の内容だ。尾を引く黒星ではない。
(元大関・栃東) 

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