「猛牛」の目にも大粒の涙…弟弟子だった響龍さんの「天国からの祝電」に、元豊響感極まる

[ 2023年1月29日 18:36 ]

断髪式を終え、長男・太綱くんから花束を受け取る山科親方(元豊響)=代表撮影
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 21年6月に引退した大相撲の元幕内・豊響の山科親方(38=境川部屋、本名・門元隆太)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で行われ、横綱・照ノ富士ら約400人が出席した。

 05年初場所で初土俵を踏み、激しいぶちかましからの突き押しで「平成の猛牛」の異名をとった。三役には手が届かなかったが、2012年夏場所7日目には、前日断髪式を行った横綱・白鵬(宮城野親方)から自信唯一となる金星を奪った。師匠の境川親方(元小結・両国)が審判長として土俵下で見守る前での勝利で、取組後に号泣する姿が印象的だった。

 断髪式ではタレントの松村邦洋、元巨人の山口俊投手らがはさみを入れたが、最後に感動的なサプライズが待っていた。止めばさみ直前。兄弟子の佐田の海がはさみを入れた後、土俵上に21年4月に土俵上のアクシデントの影響で亡くなった弟弟子の元三段目・響龍さん(本名・天野光稀さん、享年28)の遺影を持った呼び出しが上がり、佐田の海が響龍さんとして2度目のはさみ。さらに「天国からの祝電」が読み上げられると元豊響さんは感極まった。涙が止まらないなか、「師匠の境川親方(元小結・両国)に大銀杏(いちょう)を切り落とされ、18年間の力士生活に別れを告げた。

 元豊響は元響龍さんについて「弟みたいな存在だった。断髪式をするときは“家族をいっぱい連れてきますよ”と話をしたことがあった。(天国から)国技館に来てくれた気がしました」と、しんみりとかつての付け人をしのんだ。

 今後は境川部屋付きの親方として後進の指導に当たる。「(周囲に)感謝しかない。1人でも多く強い力士を育てていきたい」と抱負を述べた。

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