白鵬 大銀杏と涙の別れ「再びこの土俵に」 前人未到の記録打ち立て前代未聞の豪華引退相撲

[ 2023年1月29日 04:30 ]

宮城野親方断髪式

整髪を終えた宮城野親方(元横綱・白鵬)は、スーツ姿で記者クラブの部屋で取材に応じた
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 21年秋場所後に現役を引退した第69代横綱・白鵬の宮城野親方(37)の引退相撲が28日、東京・両国国技館で行われた。最後の取組、最後の土俵入りに続いて行われた断髪式には、横綱・照ノ富士(31=伊勢ケ浜部屋)ら角界関係者の他にも芸能界や政界などさまざまな分野の著名人が出席。約280人がはさみを入れ、大銀杏(おおいちょう)との別れを惜しんだ。

 断髪式の最後に、土俵上であいさつを終えた宮城野親方は土俵にひざまずいて額をつけ、涙を拭った。そのしぐさは、現役最後の一番となった21年名古屋場所千秋楽、照ノ富士との全勝決戦に臨む土俵下で見せたものと同じ。別れを告げる土俵に対する、最大の敬意と感謝の気持ちが表れていた。

 21年間ともに過ごしたまげとの別れに「体の一部がなくなったという寂しさがある」としみじみ。断髪式中は「一つ一つ思い出して気持ちの整理がつかない」と、かつてのライバルやお世話になった人々との思い出がよみがえり感情が高ぶった。同郷の元横綱・日馬富士からはさみを入れられると涙があふれた。「ズルい言葉を使ってきたんで思わずグッときました。“同じ土俵で戦えて誇りに思います”と」。戦友からの言葉に心を揺さぶられた。

 当日のサプライズ発表となった最後の土俵入りの太刀持ち、露払いは、それぞれ大関・貴景勝(26=常盤山部屋)と関脇・豊昇龍(23=立浪部屋)が務めた。同親方が次世代を担うにふさわしいと指名したのは、看板力士の重責を果たして初場所優勝した大関と、同郷の後輩で「今一番期待の若手」と評する23歳。「叔父さんとの縁もありましたし」と、かつてのライバル・朝青龍のおいに角界の未来を託した。

 断髪後のあいさつでは「相撲の神様に選ばれる男を一日も早く育てて、再びこの土俵に帰ってくることを誓います」と宣言した。部屋を継承し、既に歩み始めている親方の道。初場所後に史上最速の新十両昇進を決めた落合(19)や、この日行われた弟子たちによるトーナメント戦を制した川副(23)ら期待の若手たちが順調に育っている。「横綱、大関をつくって相撲道発展のために恩返ししたい」。数々の偉業を成し遂げてきた不世出の最強横綱は“第2の白鵬”育成を次の夢に掲げた。

 ◇宮城野 翔(みやぎの・しょう)本名=白鵬翔。出生名はムンフバト・ダバジャルガル。1985年3月11日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の37歳。15歳で来日し、宮城野部屋に入門。01年春場所で初土俵。07年名古屋場所で第69代横綱に昇進。19年9月に日本国籍を取得。21年秋場所後に引退。横綱在位84場所、幕内1093勝、通算1187勝、優勝45回、全勝優勝16回など数々の歴代1位の記録を持つ。22年8月に部屋を継承。家族は紗代子夫人と1男3女。

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