6年ぶり箱根総合Vへ 東洋大・相沢、無冠では終われない「円谷さんになる」

[ 2019年12月30日 05:30 ]

箱根のキーマン(4)

応援メッセ―ジ入りの横断幕を背に笑顔を見せる相沢(撮影・会津 智海)
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 学生最強ランナーの呼び声が高い東洋大の相沢晃(4年)は、箱根駅伝経由、東京五輪行きの道に挑む。それもただ経由するだけではない。6年ぶりの総合優勝へ「ミスをせずに1秒でも削り出す走りができれば、優勝するチャンスはある」と力を込める。

 1年の箱根は2区にエントリーも、直前にノロウイルスにかかり出走できなかった。2区を走った2年はトップと3秒差の区間3位。前回大会は4区の区間記録を1分27秒更新と右肩上がりに結果を残してきた。今季も出雲駅伝、全日本大学駅伝はともに3区で区間新。しかし、意外にも三大駅伝の優勝経験がない無冠世代だ。「優勝する姿を後輩たちに見せたい。先頭で走る気持ち良さを味わわせてあげたい」と思いは強い。

 酒井俊幸監督は東洋大のエース像に、学生長距離界のエースであると同時に「半歩先にトラックであれマラソンであれ五輪を目指す」ことを求める。16年に卒業した服部勇馬(トヨタ自動車)はマラソンで東京五輪代表に内定した。謙虚な相沢も目標に「五輪」を公言することで、大学という枠を超えた自覚が芽生えた。

 特別な縁もある。1964年の東京五輪でマラソン銅メダル、1万メートル6位入賞の円谷幸吉と同じ福島県須賀川市出身。円谷ランナーズスポーツ少年団時代にその名を冠した大会を走り、記念館にも足を運ぶ相沢は「ちょうど東京が来て縁を感じる。第二の円谷さんになれるように頑張りたい」と1万メートルでの東京五輪出場を目指す。

 最後の箱根は希望通り、花の2区でエントリーされた。「日本人最高はもちろん、(区間記録の)モグスさんの記録にも近付ければ」と1時間6分4秒の記録更新に意欲を見せる。「見ている人を熱くさせるような、記憶に残る走りを」。鉄紺のエースからオリンピアンへ、物語は箱根制覇から始まる。

 《酒井監督「守りに入ると東洋らしさがなくなる」》東洋大は学生最強ランナーの相沢を2大会ぶりにエース区間の2区に起用。1区は2年連続区間賞の西山、3区も区間4位の吉川と、新記録で2連覇した前回の往路メンバー3人を配置した。酒井俊幸監督は「守りに入ると東洋らしさがなくなる」と正攻法で挑む決意を示す一方、5区を2年連続で走った田中をリザーブに入れ、2年生の宮下を山上りに抜てき。「田中の想像できるタイムより宮下の伸び率に期待したい」と話した。

 ◇相沢 晃(あいざわ・あきら)1997年(平9)7月18日生まれ、福島県須賀川市出身の22歳。長沼中―学法石川高。大学2年の全日本大学駅伝で1区区間賞。大学三大駅伝全てで区間記録を持ち、3年の全日本から4連続区間賞を獲得中。19年ユニバーシアードのハーフマラソン優勝。1メートル78、62キロ。

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