福岡第一V2&2冠 史上初の“福岡決戦”制す U18代表・河村“トリプルダブル”で有終の美

[ 2019年12月30日 05:30 ]

バスケットボール 全国高校選手権最終日 男子決勝   福岡第一75―68福岡大大濠 ( 2019年12月29日    調布市武蔵野の森総合スポーツプラザ )

<福岡第一・福岡大大濠>優勝し、歓喜の河村(中央)ら福岡第一の選手たち(撮影・吉田 剛)
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 福岡第一が福岡大大濠に75―68で勝利し、2年連続4回目の優勝を果たした。1971年の明大中野―京北以来となる同都道府県同士の決勝を制し、高校総体に続く2冠を達成。U―18日本代表の河村勇輝(3年)が10得点13リバウンド11アシストの“トリプルダブル”を記録し、有終の美を飾った。

 河村は高校最後の試合を笑顔で終えた。絶対王者と呼ばれて、優勝して当然というプレッシャーからようやく解放された。「ホッとしている。このメンバーで最後の悲しさもあったが、この緊張感から早く抜け出したかった」。眠れないほどの重圧を乗り越えてつかんだ栄冠に率直な思いを口にした。

 大会史上初となる福岡県勢同士の決勝。福岡大大濠は2年前に準決勝で敗れた宿命のライバルだ。当時1年生ながら先発した河村は完全に抑えられ「力のなさを思い知らされた。自分のバスケを全て否定された」と振り返る。屈辱の一戦で10回打って1本も入らなかった3Pシュートを磨き続けた。

 「あの試合があったから成長できた」。地区大会、県大会など今年8回目となる対決で、3Pシュート1本を含む10得点13リバウンド11アシストの“トリプルダブル”を達成。「今日は決勝というより、大濠を意識して戦った」とリベンジを果たしてうなずいた。

 小2でミニバスを始め、小学校で全国優勝も経験。その頃の夢は尊敬する両親と同じ教師になることだった。出身地の山口県柳井市の進学校に進むため「中学でバスケはやめるつもりだった」が、最後の全中で現在のチームメートの小川率いる西福岡中にベスト16で敗れ「ふがいなくてこれで終わりにできなかった」と一転、「大きな決断だった」という福岡第一への進学を決めた。中学の時には「想像もできなかった」という飛躍を高校3年間で遂げた。

 父・吉一さん(59)は「寮生活も経験し、バスケを通して人間的に成長できたのが一番。これからも夢を追うことを応援したい」とたくましくなった息子にまなざしを送った。

 高校で芽生えた新たな夢「プロ選手」を実現するため、強豪・東海大に進学する。「日本代表になって世界と戦いたい。小さい自分が活躍することで、夢や希望を持ってもらえたら」。華麗なプレーで会場を沸かせる天才ポイントガード。成長の物語は、これからも続いていく。

 ▼福岡大大濠横地 プレッシャーがきつく、うまくボールをもらえなかった。福岡第一を全国の舞台で倒したかったが、この負けを次のステージに生かしたい。(厳しいマークを受け9得点と沈黙)

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2019年12月30日のニュース