フィギュア友野、躍進の裏に羽生との約束「いつか同じ大会でライバルとして」

[ 2018年11月30日 09:30 ]

フィギュア・ロシア杯男子フリーの演技をする友野。自己ベストで初の3位に入った(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 約7年の時が過ぎ、約束は果たされた。11月18日。フィギュアスケートGPシリーズ第5戦ロシア杯で3位に輝いた友野一希(20=同大)の胸は高鳴っていた。10月のスケートカナダ9位の悔しさをぶつけ、初めてたどり着いたGPでの表彰台。その中央には背中を追う羽生結弦(23=ANA)がいたからだ。

 「彼もケガをしてしまい、大変だとは思うんですけど…。一緒に表彰台に上がるのが、今回のモチベーションでもあった。表彰台に上ってみたら、見える景色もいろいろ変わってくるのかなぁ」

 式直前に熱く語るほど心躍るのも当然だった。友野には、今でも大切に保管する一つの手紙がある。「一希くんへ The Ice 大阪ではお世話になりました。いつか同じ大会で、ライバルとして会えるのを楽しみにしています!(笑) 一希、ガンバ!!」。後に五輪連覇の偉業を成し遂げる羽生からの直筆メッセージだ。11年のアイスショーで一緒になったことをきっかけに「僕がノービスなのにたくさん声をかけてくださった。本当に優しくしてくださった。次の試合か何かで僕が“お世話になりました。頑張ってください”というような手紙を送った」という。意を決して送ったファンレター。年の明けた12年に友野の元に届いたのが、その手紙だった。

 憧れの存在から送られた未来の自分への挑戦状。「“んなわけあるかー!”みたいな感じでいたんですけど…」。ハードルの高すぎる激励文に、当時は苦笑いするしかなかった友野だが、16年に全日本ジュニア選手権を制し、18年世界選手権でも5位入賞。実績を着実に重ねていくうちに、あの手紙が絵空事でないことに気づく。「(今の状況を)2、3年前の僕に言っても信じてもらえないくらい、ここ数年で本当に成長できた」。2人がロシア杯の表彰台に立ったのは、決して偶然ではなかった。

 「全日本選手権が一番、大事になる。また次に向けて頑張っていかないと」。そう前を向いた20歳は、あらためて誓った。「本当にライバルとして戦えるように、まだまだ足元にもおよばない。しっかり彼を追いかけて努力していきたい」。刺激し合う2人の再戦は、いつか訪れる。(大和 弘明)

続きを表示

この記事のフォト

2018年11月30日のニュース