羽生GPファイナル欠場 全日本も絶望的 右足首回復間に合わず

[ 2018年11月30日 05:30 ]

ロシア杯最終日の表彰式で、松葉づえ姿でレッドカーペットを歩く羽生(撮影・小海途 良幹)
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 日本スケート連盟は29日、フィギュア男子の羽生結弦(23=ANA)が17日のロシア杯フリー当日の公式練習で痛めた右足首の回復が間に合わず、GPファイナル(12月6〜8日、バンクーバー)を欠場すると発表した。受傷後3週間の安静固定、その後リハビリ加療に約1カ月を要する見込みで、来年3月の世界選手権(埼玉)の代表選考会となる全日本選手権(12月21〜24日、大阪)の出場も厳しい状況だ。

 強行出場の代償は、やはり大きかった。GPシリーズ第5戦ロシア杯、男子フリー当日(17日)午前の公式練習で、羽生は4回転ループで転倒し右足首を負傷。思い入れが強かったロシアでの大会ということもあり、痛み止めを飲んで演技し、日本男子最多となるGPシリーズ10勝目を挙げた。シリーズ上位6人が集うファイナル進出も決めたが、男女通じて最多となる5度目の優勝が懸かる大舞台への出場はかなわなかった。

 ロシア杯のフリー演技後は松葉づえをついて会見に姿を見せ、18日のエキシビションも欠場。日本連盟を通じ「ファイナルに向けて全力で治療する」とコメントを残していた。この日の発表によると「右足関節外側じん帯損傷」、「三角じん帯損傷」、「右腓骨(ひこつ)筋腱部損傷」で受傷後3週間の安静固定、その後リハビリ加療に約1カ月を要する見込みという。

 診断によると12月8日ごろまでは安静、氷上練習などの本格的なトレーニング再開は来年になる。世界選手権(19年3月、埼玉)の代表選考会を兼ねる全日本選手権が12月21日に開幕するが、出場は厳しい状況だ。3枠の代表入りには全日本出場が必須で、優勝者らが選ばれる。ただ、過去に世界選手権3位以内の実績を持つ選手がケガなどで出られなかった場合は、世界ランクや今季ベストスコアなどで救済される。

 羽生は現時点で世界ランク2位、今季ベストの297・12点は新ルールの世界最高得点で、全日本を欠場しても代表入りは決定的。昨季は17年11月のNHK杯で右足首を痛め、ファイナルも全日本も出られなかったが、同様の選考基準で平昌(ピョンチャン)五輪の切符をつかみ、66年ぶり五輪連覇の偉業を達成した。不安を抱えたまま全日本に臨むのか、世界選手権にターゲットを絞るのか。自らと対話を重ね、決断を下す。

 ▽世界選手権の代表選考基準 男子の枠は3で、全日本選手権の優勝者がまず決定。2人目は全日本の2、3位、GPファイナル出場の上位2人(宇野)、全日本終了時点での世界ランク上位3人(宇野、羽生、田中)から総合的に判断する。3人目は2人目の選考に漏れた選手、世界ランク上位3人、全日本終了時点での今季ベストスコア上位3人(羽生、宇野、友野)から選考。全日本出場は必須だが、過去に世界選手権3位以内の実績を持つ選手がケガなどで出られない場合は、ケガなどの発生前における成績を選考基準に照らして評価し、選考する場合がある。(ランクやスコアは29日現在)

 【羽生の過去2シーズン】

 ▼16〜17年シーズン GPファイナルで前人未到の4連覇を達成したが、ファイナルから帰国後にインフルエンザにかかり、全日本選手権を欠場。「ケガなどのやむを得ない理由」で全日本に出場できなかったが、ファイナルVなどで選考対象となり、四大陸選手権(江陵)、世界選手権(ヘルシンキ)の代表に。四大陸は2位だったが、世界選手権はフリーで旧ルールの世界最高をマークして2度目の優勝を飾った。

 ▼17〜18年シーズン 17年11月のNHK杯の公式練習中に4回転ルッツで転倒し、右足首を故障した。「右足外側じん帯損傷」と診断され、GPファイナルと全日本を欠場した。世界ランクやシーズンスコアなどで選考対象となり、平昌五輪の代表に決定。17年10月のロシア杯以来、ぶっつけ本番で五輪の舞台に立ち、48年、52年大会のディック・バトン以来、66年ぶりの五輪連覇を達成した。

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