高安“起死回転”で直接対決制す 地道な体幹トレ大一番で生きた

[ 2018年11月25日 05:30 ]

大相撲九州場所14日目   ○高安―貴景勝● ( 2018年11月24日    福岡国際センター )

貴景勝(左)を引き落としで下す高安(撮影・岡田 丈靖)
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 大関・高安(28=田子ノ浦部屋)が大逆転で初優勝のチャンスを迎えた。負ければ小結・貴景勝(22=千賀ノ浦部屋)の優勝が決まる直接対決は土俵際まで攻め込まれながら、窮地で体を1回転させ、引き落としで白星をつかんだ。土壇場で貴景勝と2敗で並び、優勝争いは千秋楽まで持ち越された。両者がともに勝つかともに敗れれば、優勝決定戦で対戦する。

 土俵際で体が横向きになり、相手に背を向けた。それでも高安はこらえた。左側に食いつかれそうになったところで右足を軸に1回転すると、目標を失ってバランスを崩した貴景勝が土俵に落ちた。起死回生の勝利で、自己最多に並ぶ12勝目。3横綱不在の異常事態の場所で、大関が千秋楽まで優勝決定を先延ばしにした。

 「思い切り当たれたけど、相手の圧力が強かった。押し込まれてしまった。まあ、紙一重ですね。相手の足が流れたのか分からないけど。体がうまく反応してくれました」

 もちろん納得のいく勝ち方ではない。だが、劣勢でも諦めない姿勢は常に持ち続けていた。2日目の北勝富士戦。右からおっつけられて横向きになったが、やはり右に1回転して立て直し、はたき込みで勝負をものにしていた。その北勝富士はこの日の貴景勝戦を見て「大関のバランスは半端ない」とうなった。高安はウオーターバッグを使ったトレーニングを朝稽古で行っているが、地道に体幹を鍛えてきたことが大一番でも生きた。

 高安がトップに並んで千秋楽を迎えるのは初めて。3横綱、3大関でただ一人優勝経験のない男が、初優勝の最大のチャンスを迎えた。千秋楽で先に登場する貴景勝が勝っても、自身が結びの御嶽海戦に勝てば優勝決定戦に持ち込める。八角理事長(元横綱・北勝海)は「今場所はこの2人がよくやっている。お客さんも喜んでいるし、もう一番見たいんじゃないか。2人で勝って決定戦でやってほしい」と期待した。

 運命の千秋楽。新入幕から45場所目での初優勝を果たせば、くしくも先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)と並んで8位のスロー記録となる。「(足の)親指を上げないように。しっかり浮足立たないように。いつも通り、しっかり準備をして臨みたい」。取り立てて特別なことをする必要はない。大関として地に足を着け、目の前の一番に向かうだけだ。その先に賜杯が見えてくる。

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2018年11月25日のニュース