貴景勝、父の教え“不動心”で1敗死守 24日勝てば初の賜杯

[ 2018年11月24日 05:30 ]

大相撲九州場所13日目 ( 2018年11月23日    福岡国際センター )

頭から強烈な立ち合いをみせる貴景勝(右)(撮影・中村 与志隆)
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 小結・貴景勝が初優勝に王手をかけた。平幕・碧山の強烈な突きに苦戦しながらも単独首位となる1敗を死守。14日目に1差で追う大関・高安との直接対決に勝てば千秋楽を待たずに初優勝が決定。14年秋場所の初土俵から26場所目で賜杯を手にすれば、元横綱・曙と並ぶ史上4位のスピード記録となる。

 巨体を武器とする碧山の攻めにも、貴景勝は慌てなかった。俵に追い詰めながら逆襲を食らい、197キロが放つ重い突きに上体が反るピンチ。だが、強じんな下半身で粘り切ると、相手が体勢を崩した。「パワーも経験も全て負けているので、気持ちで負けないように。自分の力を出し切れたなら、それでいいと思った」と息を吐き出した。

 初優勝が近づき「高ぶるのは当たり前」と素直な気持ちも吐露する。日に日に高まる声援と、期待する周囲の声。優勝の2文字は耳に入ってくる。そんな状況にも「徹底して自分と向き合っていきたい」と、気持ちがぶれることは一切ない。

 その裏には幼少期から二人三脚で相撲に取り組んできた父・一哉さんの存在がある。極真の空手家でもある父は、優勝争いの中で、対戦相手が立ち合いで駆け引きすることも予測。「動揺するな。惑わされるな。ポーカーフェースでいろ」と助言したという。8日目の妙義龍戦の仕切り中、まわしを締め直す事態もあったが、落ち着いていた我が子を見て「普通ならうろたえるけど、大丈夫」とその精神力に目を細めた。

 自ら「激動」と振り返る一年。春場所では自身初の休場を経験し、師匠であった貴乃花親方が退職。多くの経験を経て、最後に賜杯を抱くチャンスが巡ってきた。初土俵から26場所。史上4番目のスピード記録となる初優勝を懸けた大一番を前に、22歳は「同じように準備するだけ」といつもと変わらぬトーンだった。

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