白井 種目別床「うれしい」銀、現地練習で2度泣いた苦闘の末

[ 2018年11月3日 05:30 ]

体操 世界選手権第9日 ( 2018年11月2日    カタール・ドーハ )

男子種目別決勝 白井健三の床運動
Photo By 共同

 種目別決勝の男子床運動で、白井健三(22=日体大)が14・866点で銀メダルを獲得した。世界選手権の通算メダル数を「10」としたものの、同種目で最多タイとなる3連覇&4度制覇には届かず。アルトゥール・ダラロヤン(22=ロシア)が14・900点で個人総合に続き2冠とし、萱和磨(21=順大)は14・100点で8位だった。

 0・034点差で世界一を逃しても、白井はすがすがしい笑みを浮かべていた。「色は違うけど、ここにぶら下げるもの(銀メダル)があるだけでうれしい。こうやって笑っていることが幸せ」。これまでの体操人生で一番といっていいほどの苦しい時間を乗り越えて、世界選手権のメダル数を節目の10に乗せ「充実感と達成感がある」と振り返った。

 これまでDスコア(演技価値点)が7・2点で演技してきた白井は今大会、20年東京五輪でも使用の可能性がある中国製の器具への対応に苦しんだ。予選、団体決勝、個人総合決勝と「シライ3(伸身リ・ジョンソン)」を外した6・8点の構成。開幕前の現地練習で本来の難度での演技がうまくいかず、ロッカールームで2度泣いたという。「苦しかった。お葬式以外、泣くことなんてないのに」と明かした。

 この日も同じ構成でアタック。本来はラストの「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)」を中盤に組み込み、右足が一歩動くだけで着地をまとめたが、終盤にややバランスを崩した。それでも、後悔は一切ない。「心を折られる器具だった。この床でケガなく帰れて良かったというのが感想」と安どの表情を浮かべた。

 16歳から代表に入り続け、さまざまな競技のアスリートが練習に励むNTCの食堂では、若い選手の「あれ、白井さんだ」というひそひそ声も耳にする。「最初は自分がそういうことを言う立場だったのに、時がたつのは早いなあ」。スポーツ界をけん引する存在として大きな期待を背負う22歳は3日、連覇が懸かる跳馬に出場。「やりきったと今持っている感情を明日(3日)の演技後も持ちたい」。ベストを尽くし、最高の笑顔で大会を締めくくる。

 ▼畠田好章コーチ 着地でびたっと止まったのが一つもなかった。全体的にはいいレベルの演技なので、納得はしていると思う。(日体大男子監督)

続きを表示

この記事のフォト

2018年11月3日のニュース