北島2位で決勝進出も弱気「かなわないかも…」

[ 2011年7月25日 06:00 ]

男子100メートル平泳ぎ準決勝でダーレオーエン(左)を追う北島

水泳世界選手権第9日

(7月24日 中国・上海)
 競泳が開幕し、男子100メートル平泳ぎで、2大会ぶり出場の五輪2大会連続2冠の北島康介(28=日本コカ・コーラ)は予選が59秒96の全体3位、準決勝が59秒77の全体2位で、きょう25日の決勝に進んだ。北京五輪銀メダルのアレクサンドル・ダーレオーエン(26=ノルウェー)が59秒37でトップ通過した。立石諒(22=NECグリーン)は1分0秒36の全体9位で敗退した。

 予選後は「楽しんでいますよ」と余裕たっぷりだった北島の表情は準決勝後は一変した。予選からタイムを0秒19縮めたものの、トップのダーレオーエンに0秒40差の2位。「泳ぎがまとまらなかった。簡単には勝たせてくれない」と表情を硬くした。

 50メートルは28秒27の6番手でターン。隣のダーレオーエンに0秒36も遅れた。後半を得意とする北島も前半でこれだけ差をつけられると厳しかった。ダーレオーエンは2年前に恩師の平井コーチのもとに出稽古にきて、一緒に練習したこともある仲だが「(かつての盟友)ハンセンと違って心に隙がないのでやりづらい。58秒台の勝負だとかなわないかも」と珍しくライバルの力を認める弱気なコメントも出た。

 だが、負けるわけにはいかない。5月末に東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市に足を運んだ。小学校やスイミングスクールを訪問し、子供たちと一緒にプール掃除もした。「子供たちに元気を与えるつもりが、逆に“頑張って”って励まされた」。被災地のことが頭から離れることはない。「日本に元気を届ける泳ぎをしたい」。北京五輪後、1年間の休養を経て戻ってきた大舞台には特別な思いを持って臨んでいる。

 金メダルを獲得すれば来年のロンドン五輪代表にも内定する。ダーレオーエンもまた、母国ノルウェーで22日に連続テロ事件が発生して100人近い犠牲者を出したばかりで、特別な思いを持っている。北京五輪決勝では準決勝2位の北島が同トップのダーレオーエンを打ち負かした。「手と足がバチッと合えば、もっといいと思う。うまく調整して一発勝負したい」。上海で北京の再現なるか。決勝は母国の悲劇を背負った2人の熱い戦いになる。

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