ゴルフもなでしこ!宮里藍11カ月ぶり勝った!!

[ 2011年7月25日 06:00 ]

優勝トロフィーにキスする宮里藍

エビアン・マスターズ最終日

(7月24日 フランス・エビアン・マスターズGC=6345ヤード、パー72)
 ゴルフ界でも“なでしこ”が輝いた!単独首位からスタートした宮里藍(26=サントリー)が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算15アンダー。2年前に米ツアー初優勝を飾った思い出の大会で今季初優勝、米ツアー通算7勝目を挙げた。今週の全英リコー女子オープン(28日開幕、カーヌスティ・ゴルフリンクス)でのメジャー初制覇に向け、最高の準備を整えた。2打差の2位から出た佐伯三貴(26=日立アプライアンス)は71で回り、通算12アンダーの3位。宮里美香(21=NTTぷらら)は通算10アンダーの9位となった。

 優勝の興奮が静まっていくと同時に、温かい感情が胸いっぱいに広がった。フランスのギャラリーからの拍手と歓声に包まれた優勝セレモニー。満員のスタンドに向かって英語でスピーチした宮里は「日本が大変な時に勝ててうれしい…」と声をつまらせた。

 「自分の優勝で涙が出たというより、トーナメント全体が日本のことを思う雰囲気があった。皆さんの心遣いがありがたかった」。大会からは宮里が上田、宮里美らと立ち上げた復興基金に1万1400ユーロ(約130万円)の寄付があった。会場には日本の復興を願って売上金が寄付されるTシャツを着た外国人ギャラリーの姿も目立った。

 そうした雰囲気の中、11カ月ぶりの優勝のチャンスをつかみとった。1番パー4ではバンカーから2メートルのパットを残したが、これを沈めてパーセーブ。出だしのピンチを切り抜けると、着々とバーディーを重ねて前半を終える頃には2位との差を4打まで広げた。

 唯一のピンチといえたのは12番。初めてのボギーを叩いて、連続バーディーを奪った同組のホン・ラン(韓国)に1打差に詰め寄られた。だが、「焦りはなかったし、集中していた」と直後にバーディーを奪い返して逆に突き放した。

 前半戦の不調は技術的なものもあったが、東日本大震災の影響も大きかった。東北高出身の宮里は寄付を募るサイトを立ち上げるなど、復興を願って精力的に動いた。しかし、自身も1500万円を寄付していたことを公表していなかったため、ネット上で「他人から金をかき集めるだけで何もしないのか」などと書き込まれ、心を痛めた。

 悩める娘に対し、父・優氏(65)は「お前はちゃんとやることをやっているんだ。心をクリーンにしよう」と声をかけ続けた。「1日も早く日本にいいニュースを届けたい」との思いが重圧となっていた宮里も、先月の全米女子オープンを前に「自分だけでは日本を救えない」と気持ちの整理をつけた。

 米ツアー初優勝を飾った思い出の大会で再び心に残る優勝を手にした。「1つ肩の荷が下りた。まず1勝するという目標をクリアしたのでメジャータイトルを取りたい気持ちもある」。表彰式の最後には日本語でのメッセージを求められてこう一言。「日本のみなさーん!力を合わせて一緒に頑張りましょう。まだまだ私も頑張ります」。宮里の声は、エビアンの空から遠く離れた日本まで響いたはずだ。

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