トライアスロンの足立が金1号!ロンドンへ弾み

[ 2010年11月14日 06:00 ]

金メダルの足立(左)と銀メダルの土橋はメダルにキス

 【広州アジア大会第2日】トライアスロン女子で足立真梨子(27=トーシンパートナーズ・チームケンズ)が2時間5分44秒59で優勝し、今大会の日本選手団の金メダル第1号となり、12年ロンドン五輪へ弾みをつけた。競泳では、男子200メートルバタフライの松田丈志(26=コスモス薬品)と、400メートル個人メドレーの堀畑裕也(20=日体大)が金メダル。柔道女子78キロ超級の杉本美香(26=コマツ)も優勝した。

 力強い足取りは最後まで変わらなかった。足立はゴールすると両手を突き上げた。「金メダル1号になったことはうれしく思います。(表彰式で)日の丸が上がっていくのを見て涙が出ました」と感慨に浸った。
 スイムでリードを奪ったが、バイクで集団に吸収された。それでも「ランで勝負できると思って不安はなかった」。2・5キロのコースを4周する最終種目ラン。1周目でするすると抜け出した。
 強化の一助となったのは、文部科学省が有望競技を支援する「マルチサポート事業」。ランの動作解析が効果的で「腰の位置や着地点などがよく分かって、走りの理想が頭に浮かぶ」。足立は上下動の少ないフォームで後続を置き去りにした。
 大学3年生だった04年に父・敏博さんが56歳で急逝。ショックから競技を離れ、就職活動を始めた。志望は航空業界。敏博さんは飛行機が苦手で、海外旅行にも行かなかった。「私がそういう仕事に就いて、母と一緒に旅行できたら」と子供の頃から抱いていた夢。大手航空会社から内定を得たが、一方で競技への未練もあった。父は娘が走っている姿が大好きだった。大学卒業後、再びレースに戻ってきた。
 今季は世界選手権シリーズで2度4位に入るなど成長。世界ランクはアジア最高の9位。今大会は優勝候補筆頭だった。「自分にプレッシャーをかけていた」。重圧の中で結果を残した。
 12月24日が父の七回忌。「金メダルをお墓にかけてあげたい」。最大の目標は2年後のロンドン五輪だ。「こういう舞台で最大のミッションをクリアできたのはロンドンにつながる」。足立の言葉は力強かった。

 ≪母も見届け感涙≫足立の母・ひとみさん(57)はスタンドで歓喜の瞬間を見届けた。レース前には出場のお祝いにひすいのブレスレットをプレゼントし、娘の背中を優しく押した。レース後は「おめでとう」と声を掛け「ちょっとだけロンドンが近づいたかな」と目を潤ませた。競泳選手だった足立を競技に誘った日本代表の飯島監督も「体幹を鍛えてアスリートに近づいた。よくやってます」と感無量の表情を浮かべた。

 ◆足立 真梨子(あだち・まりこ)1983年(昭58)7月21日、大阪府枚方市出身の27歳。小学6年生で水泳を始め、枚方SSでは04年アテネ五輪競泳女子200メートルバタフライ銅メダルの中西悠子とチームメート。東香里中、太成高を経て同大へ進学。同大2年生でトライアスロンに初挑戦。趣味は映画観賞と料理。1メートル62、50キロ。

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2010年11月14日のニュース