遼“小技”で魅せた!逆転賞金王へ首位浮上

[ 2010年11月14日 06:00 ]

9番でバンカーからの第3打をカップに入れバーディーを奪いボールをギャラリー席に投げ入れる石川遼

 スポニチ後援、男子ゴルフツアーの三井住友VISA太平洋マスターズ第3日は13日、静岡・太平洋クラブ御殿場コース(7246ヤード、パー72)で行われ、賞金ランク2位の石川遼(19=パナソニック)が鮮やかな“連続チップイン”で首位に立った。8番ではグリーン手前のカラーから、9番ではバンカーからウエッジで直接沈め、前半9ホールのパット数は自己最少の8。小技がさえて65をマークし、通算9アンダーまでスコアを伸ばした。賞金ランク3位の藤田寛之(41=葛城GC)も63の好スコアで首位に浮上。賞金ランクトップの金庚泰(24=韓国)を追って逆転賞金王を狙う2人が、最終日最終組で火花を散らす。

【第3R成績】

 豪快なドライバーショットが持ち味の石川が小技で魅せた。グリーン周りで立て続けに沸き上がる歓声。「アプローチとパットが良ければこういうスコアが出る。ショットで取ったバーディーは少ないけどショートゲームが凄く良かった」
 スイング改造を始めたばかりで心もとないショットを小技で補った。序盤から5メートル前後のパットがよく決まって流れに乗ると、前半の最後に見せ場が訪れた。8番パー4ではグリーン手前のカラーから「ちょうど今練習している一番易しいアプローチ」という10ヤードのアプローチ。イメージ通りにカップまで転がして、小さくガッツポーズを決めた。
 次はより難易度が高かった9番パー4での22ヤードのバンカーショット。「手前で止まると難しいパットが残る。勇気を出して奥まで突っ込むつもりで打った」と勢いよく砂をはじくと、ボールはカップに一直線に転がった。「歓声を聞いて入ったのが分かった」。“連続チップイン”に自分でも驚いたとばかりに両手を広げ、そのボールを惜しげもなくギャラリーに投げ入れた。
 最近は基本に立ち返って簡単なアプローチの練習を繰り返し、今週からは新しく考案したパット練習器具を持ち込んでいる。この日のラウンド後の練習も時間を費やしたのは小技の再確認。大会前から「練習の成果が凄く出ている」と話していた手応えが、早くも結果となって表れた。
 この大会は2年連続でトップ5入りしており「ギャラリーが選手を見やすいコースなので、プレーしていて気持ちいい」とコースとの相性も良い。3日目のギャラリー数は1万人を突破し、朝の練習場は入場制限がかかるほど。その声援に背中を押されるようにして首位まで駆け上がった。
 賞金王レースで約4000万円差の金庚泰を追いかけるためにも、ここでの勝利は重要な意味を持つ。「それは百も承知。この優勝争いで勝つことがどれだけ大事か僕には分かってる」。狙うはあと一歩で逃し続けている今季3勝目しかない。

 ≪首位で最終日ならV確率5割、でもタイだと…≫石川は8、9番のような0パットでの連続バーディーを08年のこの大会3日目(13、14番)にも記録している。この時はチップインとカラーからパターで決めた。2ホールともウエッジで決めたケースは今回が初。前半の8パットは石川の9ホールでの自己最少パット数。これまでは5月の中日クラウンズ最終日など10パットが7回あった。ツアー最少記録は7パット。首位で最終日を迎えるのは今大会が11回目。過去10回のうち優勝は5回。ただし、1位タイは3度目。過去2回はいずれも優勝していない。最終日最終組はこれで14回目。過去13回のうち優勝は6回。

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2010年11月14日のニュース