真鍋監督「IDバレー」がメダルに結実

[ 2010年11月14日 20:19 ]

 【日本3―2米国】男子日本代表の正セッターとして長く活躍した真鍋監督は、楽天の野村克也名誉監督の著書を好んで読む。詳細にデータを洗い出し、敵を周到に分析して弱点を探る手法は、野球界の名伯楽の代名詞となった「ID野球」さながら。妥協を排除し、緻密さを徹底して追い求めた「IDバレー」が歴史的なメダルに結実した。

 スパイクやサーブレシーブなどあらゆる項目について成功率や効果率を練習試合から数値化し、それを書面にして配布する。「鮮明にいい、悪いを評価している。ここをアバウトにすると勝てない」が持論。選手は毎日のように課題を突きつけられ「心理的に油断できない。慣れることはない」(栗原)という。厳しい環境が個々の成長を促した。
 高さを補うには、速さと組織力が必要だった。昨年はスパイク動作のタイムを計測し「サイドアタッカーはトスが上がって1・1秒以内に打つ」と目標値を設定。山口、井上らスピードが武器の選手を抜てきした。従来は個人任せだったブロックも世界標準の連係を導入。パワー強化のため、日本の女子には抵抗感が強かったウエートトレーニングにも力を入れた。
 「一方的にああせい、こうせいじゃいけない。強い国は選手もスタッフも目的意識を共有している」。攻撃、ブロックなど分業制を敷くコーチ陣の視察先は、強豪国ブラジルから、国内の9人制、ママさん、小学生の大会まで及び、代表の戦術に生かせるヒントを探ったという。組織としての強力な一体感も、快挙達成の一因だ。

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2010年11月14日のニュース