「金メダルは使命」天国の父に捧げる有言実行の栄冠

[ 2010年11月13日 12:38 ]

バイクで快走する足立真梨子(左)と土橋茜子(右)

 【広州アジア大会第2日】2歳で始めた得意のスイムで抜け出す。田んぼに転落するほど苦手だったバイクも先頭集団をキープ。「大好き」というランで一気に引き離した。3種目とも万全の状態に仕上げたトライアスロン女子の足立が、日本勢第1号となる金メダル。「金メダルは使命」との宣言通りにトップでゴールを駆け抜けると、晴れやかな笑顔を見せた。

 2003年に水泳から転向したが、故障に泣き続けた。04年、バイクの競技中に激突したフェンスの破片が体中に刺さる大けが。復帰後も両すねの疲労骨折などを繰り返した。同年末に最愛の父俊博さんが56歳で急逝。「気持ちの整理がつかなかった」。競技を離れ、就職活動を始めた。

 しかし、未練は残っていた。大手航空会社に決まりかけたころ、母と姉に「お父ちゃんは真梨ちゃんの走る姿が一番好きやったやろ」と背中を押された。もう一人の父と慕う存在の飯島健二郎監督が、大阪の実家まで線香を上げに来た。大学卒業後の06年、再び監督の門をたたいた。

 そこから1日8時間に及ぶこともある猛練習を重ね、体を鍛え上げた。この日は母が現地で応援。「父も来ているはず」と意気込んでいた27歳が、表彰台の頂点に立った。(共同)

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2010年11月13日のニュース