アマの意地で銀 武術の市来崎が日本メダル1号

[ 2010年11月13日 11:25 ]

男子長拳で2位になった市来崎大祐の演技

 【広州アジア大会第2日】武術の市来崎大祐(23=大阪府連盟)が男子長拳で2位に入り、今大会で日本勢初メダルとなる銀メダルを獲得した。同種目は演舞形式で得点を争い、市来崎は跳躍力を生かした演技で9・72の高得点をマークした。

 大阪体育大の情報処理センターで働きながらの銀。金の中国選手との差はほんのわずか。「うれしい」。表彰台で端正な顔を緩め、首からかけたメダルを確かめるように何度も手に取った。

 大会前、周囲から「メダル1号に」と声をかけられ眠れない日もあった。「あっという間だった」という1分半で力を出し切った。

 中国古来の少林拳の流れをくむ長拳は演武形式で、ハイスピードで繰り出される技の高度さと正確性を競い合う。出番は出場12選手の最後。小中学校時代にバスケットボールで培った跳躍力を生かして、本番でも高得点をたたき出した。

 6歳のころ、中国人俳優ジェット・リー主演のカンフー映画に魅了された。「技の美しさと説得力。少しでも近づきたい」。今でもあこがれだ。

 中国から伝来した武術は健康法としての太極拳のイメージが強く、競技スポーツとしてはまだ普及していない。「マイナー競技だからって縮こまってたって仕方がない。これから僕が盛り上げていきますよ」と本番前に語っていた。

 層が厚い中国はプロが居並ぶ。「アマチュアでも努力次第、ということを証明できた」。意地を結果で表現してみせた。(共同)

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2010年11月13日のニュース