「純粋に好きだから」逆境に負けない“戦うフリーター”たち

[ 2010年11月13日 09:06 ]

武術男子、太極拳の関屋賢大選手

 開幕したアジア大会。日本で景気低迷が長引く中、企業からの支援の厳しさや就職難など、逆境をはね返して出場を決めた“マイナースポーツ”の選手たちには、競技への情熱があふれている。

 太極拳など中国伝来の武術の関屋賢大選手(22)は大阪国際大4年生。国際大会の入賞歴をアピールして競技を続けられる企業を探したが「時代が悪かったのかも…」。24時間営業の書店で午前1時から午前9時までのアルバイトを週4回こなす。卒業後は中国の武術学校への私費留学も考えている。プロ化されている中国の選手から「金をもらえないのに、どうして君は太極拳をやるの」と問われ驚いた。「自分たちは純粋に好きだからやっている。競技への思い入れは日本選手の方が上」と言い切った。

 カバディの高橋弘実選手(25)も代表選出後、練習に集中するため信用金庫を退職した。「メダル獲得は先輩たちから続く夢。中途半端にしたくなかった」。183センチ、80キロの鍛え上げた体で弁当配達のアルバイトに汗を流し、開幕を迎えた。

 次のロンドン五輪で初採用される女子ボクシングの新本亜也選手(23)も広島県の母校・広陵高校で練習を続けながら、牛丼店で週4回夜通しのアルバイト。プロの道も考えたが、アマチュアを極めるつもりだ。目指すのは、人気も実力も伴う日本女子レスリングチーム。「自分たちが引っ張ってゆきたい」

 ラグビー女子の鈴木彩香選手(21)は関東学院大の3年生。アジア大会に集中するため、就職活動は始めていない。「大会が終わると焦ると思う」と本音をのぞかせた。(共同)

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2010年11月13日のニュース