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森保ジャパン 五輪世代に自覚持たせた「1チーム2カテゴリー制」

[ 2022年12月8日 05:15 ]

ドイツに勝って喜ぶ日本代表イレブン(AP)
Photo By AP

 【検証 森保ジャパン(2)世代融合】8強には届かなかったものの、ドイツ、スペインを破る「新時代」を築いた日本代表。その背景には森保一監督(54)が五輪監督を兼任し「1チーム2カテゴリー制」による準備があった。

 「僕らはサッカーを知らなすぎる。彼らはサッカーをしているけど、僕らは1対1をし続けている」。昨夏の五輪でメキシコに敗れてメダルを逃した夜、田中が発した言葉は、あまりに遠い世界との距離感を示していた。

 1年半後、W杯を終えた言葉はこう変わった。「世界との距離は縮まっていると思う。ただ、(縮まっているのは)日本だけじゃない。そのステージ(8強)に届くまでの距離はまだあった」。賢さと流動性を前に主導権を持てない時間の長かったクロアチア戦では、差を痛感した。それでもドイツ、スペイン戦で、日本は確かに「サッカー」として機能した。中心にいたのが、田中、板倉、三笘、前田、久保、堂安といった五輪世代だった。

 森保監督の五輪監督としての初陣は、17年12月のM―150杯(タイ)。その3試合で指揮官はいきなり、3―4―3、4―4―2、3―5―2と練習でも説明せずに試合中に布陣を変えた。真っ先に身をもって感じさせたものこそ、18年のロシア大会で欠けていた「対応力」の重要性。19年夏の南米選手権では、各ポジションに1人ずつ岡崎慎司や柴崎岳らオーバーエージ世代を呼び、日の丸の重みをよく知る背中を見せた。

 東京五輪でメダルに届かなかったとき、五輪世代は打ちのめされ、猛烈な「後悔」と「反骨心」を持った。「W杯が始まる頃には自分は代表で圧倒的な存在になっていないと遅い」(久保)と誓った。その思いを持ってそれぞれがA代表に主力として加わるようになると、融合は一気に進んだ。既にA代表に必要なエッセンスを持ち合わせていたからだった。冬開催で準備期間が少なかった今大会。各国が準備に苦戦する中、日本は「26人総力戦」で90分間戦力を落とさずにW杯優勝経験国を破った。「1チーム2カテゴリー制」を敷いた、大きな効果だった。(特別取材班)

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2022年12月8日のニュース