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真価が問われる30年目のJリーグ

[ 2022年1月21日 22:04 ]

93年5月15日、前半19分、V川崎のFWヘニー・マイヤーが横浜M戦で記念すべきJリーグ1号ゴールを決め喜ぶ
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 【大西純一の真相・深層】Jリーグが開幕して30年、節目のシーズンを迎える。よくマーケティングなどの世界では、「企業の寿命は30年」といわれるが、Jリーグも真価が問われる年となる。

 新型コロナウィルス感染症の影響でこの2年間は観客が制限され、入場料収入は激減。スポンサー収入も減って、多くのクラブが緊縮財政を余儀なくされた。お陰でこのオフの移籍市場も、選手の移籍が少なく、クラブ関係者は「予算削減で移籍金があまり用意できず、積極的には動けなかった」と、嘆いていた。選手が抜けたポジションがあればその穴埋めで精いっぱい、戦力アップまでは手が届かなかったチームが多いというのだ。選手も夢を追ってステップアップするより、現実に目を向けて早々に残留を決める選手が多かった。

 今季は多くの課題と向き合うことになる。何といってもまずは経済面、「そろそろ限界」というチーム関係者も多い。新型コロナウィルス感染症の感染拡大が止まらず、チケット販売もどうなるか見通せない。さらに日本の経済全体が厳しい状況にあり、スポンサー料も減収、親会社を持たないクラブは頭を抱えている。リーグ全体としても、DAZNとの大型契約に続く新たな仕組みの構築にも取り組まなければいけない。

 3月にはチェアマンが代わり、新体制になる。しかし、どうやってもコロナ前に戻ることはできないし、戻るよりもいかに新しい魅力を持ったリーグにするかということの方が重要だろう。プロスポーツの興行だけに、収入の確保が一番、そのためにもスター選手を育てることや、新たな魅力を出せるか。30年前、誰もが「無理だ」という中で、Jリーグはスタートし、プロ野球と真っ向勝負して日本のスポーツ界全体を変えた。チーム名から企業名を外したり、地域密着やVゴール方式などあの手この手で取り組んだ。開幕10チームが同一コンセプトで1社でグッズを作ったり、放送権をリーグで一括管理したり、聖域なしに改革した。

 ピンチはチャンスでもある。サッカーには土壌があるし、エネルギーも残っているはず。ぜひ変化の年にしてほしい。

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2022年1月21日のニュース