藤井正弘の血統トピック

【中山GJ】「大障害父系」後継者の器オープンガーデン

[ 2011年6月29日 06:00 ]

 90年代最後の名勝負が二世たちによって再現された今年の宝塚記念。先行抜け出しの自力勝負で2分10秒1のレコードを叩き出し、牡牝のクラシックホースを余裕で封じ込んだアーネストリーには、12年前にスペシャルウィークを3馬身ち切り捨てた父グラスワンダーの大パフォーマンスが確かに重なって見えた。父の産駒ではスクリーンヒーロー、セイウンワンダーに続くJRA平地G1ウイナーだが、2頭と異なるのは“サンデーサイレンス・フリー”の血統構成で、これは未来の種牡馬として大きな意味を持つ。血統的閉塞(へいそく)状況の生産界にとっても、待望の無冠返上だったと言えるだろう。 

 “父子2代”の流れは今週も続く。異例の7月開催となった中山グランドジャンプで昨年(首差2着)の雪辱を期すオープンガーデン。00年、01年と2年連続でこのレースを制した天才ジャンパー、ゴーカイの産駒である。 

 3年前、東京ハイジャンプ後のこのコラムでは希望的観測込みで「父子2代の重賞ジャンパーが現れる日もそう遠くあるまい」と書いたのだが、それは前走の阪神スプリングジャンプでついに現実となった。もちろん国内初のケースで、障害馬は去勢されるのが一般的な海外ではまず起こり得ない寓話(ぐうわ)的快挙と言える。恐らく吉橋オーナーは父同様、自家生産用種牡馬としての将来を用意しているものと思われるが、ここまで来たならぜひとも“大障害父系”の後継者というプレミアを期待したい。(サラブレッド血統センター)

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