藤井正弘の血統トピック

【スプリンターズS】リナーテがステイ産駒の「新境地」開拓

[ 2019年9月26日 05:30 ]

 サンデーサイレンスは自身が没した02年、新潟開催だったスプリンターズSで初めて芝1200メートルのG1勝ち馬ビリーヴを出した。以後、サンデーサイレンス産駒はせきを切ったようにスプリント部門への侵攻を開始し、翌年の優勝馬デュランダル、高松宮記念勝ちのアドマイヤマックス、オレハマッテルゼ、スズカフェニックスと、最終的に“遺児”の中から5頭のG1スプリンターが現れた。経験則的にいえば、このように死後に産駒のタイプが変化するケースはままある。立つ鳥跡を濁さずというべきか、大種牡馬はその晩年に自身の苦手分野にも決着をつけていくものである。

 今回がG1初挑戦となる5歳牝馬リナーテは、種牡馬ステイゴールドにとって実質的な“ラス前”の第12世代。死後4年が経過してなお、先週のオールカマーでもスティッフェリオとウインブライトがそれぞれの形で存在感を示したこの父の産駒は、平地障害合算でJRA重賞105勝を挙げているのだが、芝1200メートルではG1はおろか重賞勝ちさえ一度もない。スプリントG1挑戦は、種牡馬ステイゴールドにとっても産駒デビュー14年目にして初めてということになる。

 リナーテはディープインパクト産駒初の菊花賞馬サトノダイヤモンドの半妹。兄と同様に、偉大な父の新境地を開く可能性なきにしもあらずだ。(サラブレッド血統センター)

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