【王将戦】初手見学に島根県代表の高校生ら 能登半島地震で全国大会中止に「ショック」も「強くなりたい」

[ 2024年1月28日 05:10 ]

第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局第1日 ( 2024年1月27日    島根県大田市・国民宿舎さんべ荘 )

自分の好きな駒を持って喜ぶ(左から)藤井海祐利さん、森山慶子さん、堀江優一さん、小林康志さん(撮影・小田切 葉月)
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 藤井聡太王将(21)に菅井竜也八段(31)が挑む将棋の第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第3局は27日、島根県大田市の「さんべ荘」で第1日を行い、先手の菅井が45手目を封じて指し掛けた。

 この日、冬の高校生の全国大会「全国高等学校文化連盟将棋新人大会」の島根県代表の生徒らが、第3局の初手を見学。今年の開催地は金沢市で、能登半島地震の影響で中止に。本来なら第3局1日目に当たる27日まで開催を予定していた晴れ舞台。傷心の生徒たちにとって、思わぬ出来事となった。

 同大会は1、2年生が対象で個人戦のみ。男子の代表で、出雲高2年の藤井海祐利さんは「夏の大会は団体戦で出ようと思っていて、個人戦は今回が最後。ショックだった」と話す。大会の1週間前に中止の連絡があった。今回が初めての全国大会出場だった松江南高1年の堀江優一さんは「大会中止は悲しいのはもちろんですが、今1番大変なのは被災した方々。怒りのやり場がなかったです」と声を震わせた。

 高校3年間で、限られたチャンスが1つ消える。生徒たちにとって計り知れない衝撃を、松江南高将棋部顧問の辻雅人さんは感じた。「とにかくがっくし、の一言だと思う。みんなのために何かできないかと考えた時に、同じタイミングで王将戦が島根で開催していることを思い出しました」と振り返る。すぐに「さんべ荘」に連絡を取り、今回の初手見学につながった。

 当日は独特な空気感の対局室に入り、藤井と菅井の姿を間近で見る。肌を刺すような緊張感を感じた。付き添いで来た松江南高1年の小林康志さんは「臨場感があった」と身を震わせる。女子の代表で、出雲高2年の森山慶子さんは「あの雰囲気に近づけるように、強くなりたいと思いました。もっと頑張ります」と目を輝かせた。

 参加した4人それぞれにとって、記憶に刻まれた日になった。辻さんは「それぞれ何かを感じ取って、これからの将棋人生に活かしてもらえたら」と話した。

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