【女優助演賞】広瀬すず　監督から厚い信頼　難役を見事にクリア

2023年（第78回）毎日映画コンクール各賞決定 （ 2024年1月18日 ）

女優助演賞を受賞した広瀬すず（撮影・西尾　大助）　
Photo By スポニチ

　初めて映画に出てから10年。広瀬すず（25）が実力者ひしめく助演賞部門を制した。

　対象作の「キリエのうた」は20年公開の「ラストレター」に続いて岩井俊二監督に起用された一編。「監督とアイナちゃん（アイナ・ジ・エンド）が紡いで作り上げていった作品だと思うので、“わたし？”って感じですが、賞って“届いたのかな。見てもらえたのかな”という一つの証、形になるものなので、一出演者としてとてもうれしいです」

　路上ミュージシャンのキリエの前に現れてマネジャーを買って出る謎めいた女性イッコと、キリエが通っていた高校の先輩である真緒里。岩井監督が別々で考えていたキャラクターを同一人物に統合して広瀬に委ねた。見た目も全く違う難役だったが、監督からの細かい指示はなかったというから信頼度の大きさを物語る。

　「唯一無二の表現力を特等席で見ることができた。“生まれ変わったら、その才能欲しいわ”と思うほどでした」とアイナを絶賛するが、逆もまた真なりだ。距離感をぐっと縮めてくれたのが雪の北海道での撮影入り。「青春でしたよ。笑っちゃうくらい寒かった。イッコとキリエが体をくっつけて温め合い、相手の体温まで共有できた感じが良かった」

　是枝裕和氏、李相日氏といった実力派の監督たちから愛されてきた美少女も25歳。「年齢とともに出合う役だったり作品も変わっていく。そこは柔軟にいたい」と前を向いた。