濱口竜介監督 ベネチア国際映画祭、銀獅子賞 世界のクロサワ以来の“世界三大映画祭コンプリート”

[ 2023年9月11日 05:00 ]

銀獅子賞を射止め、笑顔を見せる濱口竜介監督(右)と主演の大美賀均(AP)
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 第80回ベネチア国際映画祭の授賞式が9日(日本時間10日)に行われ、コンペティション部門に出品されていた濱口竜介監督(44)の「悪は存在しない」が金獅子賞(最高賞)に次ぐ銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。

 濱口監督は「ドライブ・マイ・カー」でカンヌ国際映画祭の脚本賞と米アカデミー賞国際長編映画賞、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭の銀熊賞(審査員大賞)を受賞。世界三大映画祭とアカデミー賞を全て受賞したのは、日本人では黒澤明監督以来の快挙となる。

 主演の大美賀均(34)とともにステージに上がり「このような素晴らしい賞を頂けるとは、企画が始まった時は思いもよりませんでした」と素直な心情を吐露。「ドライブ・マイ・カー」で音楽を担当した石橋英子に、ライブパフォーマンス映像の依頼を受けたことからスタートした企画で「発案者である石橋英子さんの音楽が、今まで体験したことがない仕事に導いてくれた」と感謝した。

 授賞式後の会見でも「ここまでたどり着けたことが素敵ですし、石橋さんの力はとても大きいと思います。そして、キャスト、スタッフの皆さんの力があったおかげで、こういう結果に結実する映画ができました」と笑顔。大美賀も「凄く小さなチームから始まり、想像よりはるかに凄いところまで連れてきていただいた」と声を弾ませた。

 「悪は存在しない」は、自然が豊かな郊外の町でグランピング施設の建設計画が持ち上がったことで地元の人々の暮らしに波紋が広がっていく物語。日本では24年の公開を予定している。

 ◇濱口 竜介(はまぐち・りゅうすけ)1978年(昭53)12月16日生まれ、神奈川県出身の44歳。東大卒業後、東京芸大大学院に進み黒沢清監督に師事。15年「ハッピーアワー」で注目され、18年「寝ても覚めても」で商業映画監督デビュー。21年「ドライブ・マイ・カー」で国内外の映画賞を席巻した。

 ▽ベネチア国際映画祭 フランスのカンヌ、ドイツのベルリンと並ぶ世界三大映画祭の一つで、イタリア北部のリド島で開かれる。1932年に始まり、主要な映画祭では世界最古の歴史がある。シンボルはライオン。芸術性の高い映画が多く集まるとされるが、近年は米アカデミー賞を受賞した「ラ・ラ・ランド」のような作品も出品されている。

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