NHK版金田一耕助・吉岡秀隆の凄さ「異次元」演出も感嘆の長台詞 録画容量が…今夜「犬神家の一族」後編

[ 2023年4月29日 09:00 ]

特集ドラマ「犬神家の一族」後編。金田一耕助(吉岡秀隆)の推理は…(C)NHK
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 俳優の吉岡秀隆(52)が主演を務めるNHK版金田一耕助シリーズの最新第4弾「犬神家の一族」は29日(後9・00~10・30、BSプレミアム・BS4K同時)、後編が放送される。推理作家・横溝正史の傑作ミステリーを前後編各90分のボリュームでドラマ化。演出の吉田照幸監督(53)に吉岡の魅力を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「獄門島」(2016年)「悪魔が来りて笛を吹く」(18年)「八つ墓村」(19年)に続き、4年ぶりとなる待望作。湖畔の屋敷を舞台に、名探偵・金田一耕助が犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛の莫大な遺産をめぐる謎の連続殺人事件に挑む。

 脚本はNHK「岸辺露伴は動かない」シリーズ、アニメ「進撃の巨人」「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどで知られる小林靖子氏。吉田監督はチーフ演出を務めた昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の後、初作品となった。

 犬神家の長女・松子役に大竹しのぶ、次女・竹子役に南果歩、三女・梅子役に堀内敬子、松子の一人息子・佐清役に金子大地、佐清を慕う野々宮珠世役に古川琴音らと豪華キャストが集結した。

 吉岡は前々作・前作に続き、3回目の金田一役。謎解きのシーンは当然、長台詞が待ち受ける。

 吉田監督は「吉岡さんが素晴らしいのは、まずその立ち居振る舞い。誰もがリラックスして撮影に臨めるよう、現場の雰囲気をつくってくださいます」と感謝。持ち前の柔らかさだが「芝居になると、急激にパーンと感情が切り替わるんです。スッと怒りが目に宿ったり。今回は謎解きのシーンを撮るのに2日間使ったんですが、1日目はほとんど吉岡さんの台詞で、最初から最後まで行き切ると拍手が沸き起こりました。共演者の皆さんも『これは大変だ』とお分かりで、感嘆されていました」と明かし、絶賛してやまない。

 「台詞そのものはもちろんのこと、言い回しや感情の起伏まで、体の中に染みついているんでしょうね。一瞬、『台詞を忘れちゃったかな?』という思うぐらい、間(ま)が空く時もあるんですけど、それも吉岡さんのリズム。その言葉が自分の中から自然と湧き出るまで、間を取れる人。現場に数秒、沈黙が流れるだけでも恐ろしいはずですが、そこからして、もう異次元の演技だと思います」

 吉岡の凄さは初タッグを組んだ「悪魔が来りて笛を吹く」の時から実感。謎解きのシーンの時、当初は20分ほどでカットの予定だったが「それでも物凄く長いんですが、吉岡さんの芝居に魅入られてしまって、気づいたら30分ぐらいまで進み、途中でカメラの録画の容量がなくなったことも気づかずで…。それ以来、警戒されて、今回も吉岡さんに『監督、撮れていないのに、カットかけないからなぁ』『危ない、危ない』と言われたりしました(笑)」。2人の“あうんの呼吸”が伝わった。

 後編には、いよいよ湖面から突き出る“逆さ足”のシーンも登場。番組公式ツイッターは「これまでの犬神家を覆す衝撃のラストが、貴方を待っています!」と予告。謎説きに向け、偶然にも大の横溝ファンという小林氏の作劇にも期待が高まる。

 <猿蔵役は意外?>野々宮珠世(古川琴音)に忠実に仕える犬神家の下男・猿蔵役を演じるのは、俳優の芹澤興人。「鎌倉殿の13人」で八重(新垣結衣)の夫・江間次郎役を好演したことも記憶に新しい。過去の映像作品から「猿蔵は大柄」のイメージがあるが、今回は「そういう感じにはしたくない」とプロデューサーがこだわり。吉田監督も「芹澤さんなら、体格がよくて威圧感があるからじゃなく、目立たなくても怒ったら何をしでかすか分からないような怖さを表現してくださる、と。最初は意外でしたが、ハマり役だったと思います」とキャスティングに手応えを示した。猿蔵が珠世を守れないシーンで、芹澤が「一度は悔しがってもいいですか」と提案。吉田監督は「漫画っぽいキャラクターを演じる時は台本をなぞりがちなんですけど、しっかり役の感情を深めてくださって。これは演出としてもうれしかったですし、凄いと思いました」と振り返り、称賛した。

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