藤井七段が小6・弟弟子に負けちゃった 故郷・瀬戸市で12人と同時対局 「鋭い攻めうまい」と賛辞も

[ 2019年5月26日 05:30 ]

指導対局を行う藤井七段(左)。中央が弟弟子で藤井七段を破った長沢魁くん
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 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(16)が25日、地元・愛知県瀬戸市で開かれた瀬戸将棋まつりに参加した。指導対局で小学6年に敗れるハプニングもあったが、2016年10月にプロになって以降、同市内で初めてとなる公開対局も行うなど“地元凱旋”イベントを満喫した。

 たった1人で多数の相手と対戦する、将棋イベントでは見慣れた光景の指導対局。この日は12人と同時に当たる12面指しだったが、相手は全員小学生。そこで誰もが予期せぬ番狂わせが起きた。

 対局相手は、同じ施設内で実施されたチビっ子将棋大会の上位入賞者だった。なごやかな雰囲気の中、イベント関係者が「勝ちました!」と勝者が出たことを伝えた。会場は騒然。“怪物”を負かした新怪物は瀬戸市立幡山西小6年の長沢魁(かい)くん(12)だった。

 長沢くんは、藤井が幼稚園時代から小学4年まで通った瀬戸市・ふみもと子供将棋教室にかつて所属し昨年の小学生名人戦で準優勝した実力者。現在は名古屋市内にある藤井の師匠・杉本昌隆八段(50)の研究室生。つまり藤井にとっては弟弟子だった。

 尊敬する兄弟子からは終局後に「鋭い攻めがうまいね」と褒められた長沢くん。香車と飛車落ちというハンデをもらったものの、大金星に「将来は藤井さんのような棋士になりたい」と目を輝かせた。

 かつて自身が小学2年の時、谷川浩司九段との指導対局で負けそうになり、引き分けを提案されて大泣きしたという逸話のある藤井。この日は弟弟子に敗れさぞやショック…と思いきやニコニコ。「楽しみにしていた」という地元での将棋普及イベントがうれしくてしょうがないようだった。

 藤井とA級棋士・木村一基九段(45)との公開対局には1500人の市民らで客席が埋まった。藤井はそんな期待に応えるように圧勝。自身は不在ながら「明日(26日)もあるので存分に楽しんでもらえれば」と将棋まつりのPR役まで務めた。

 ▽香車と飛車落ち 指導対局の駒落ちの一種。プロ棋士によるアマチュアへの指導対局は原則、プロが初形から駒を減らした状態で指される。飛車、角の2枚落ちでプロに真剣勝負で勝てればアマ三~四段程度、香車と飛車落ちで勝てばそれ以上の棋力と評価される。

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